【報告】センターが,提出資料の取扱いガイドラインを公表

【報告】センターが,ガイドライン「当事者の一方からパネルに対してのみ資料等が提出された場合の取扱いについて」を公表

 

2016.11.10

 

原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」)の総括委員会は,平成28年11月8日,新たな総括基準(手続関係)として,ガイドライン「当事者の一方からパネルに対してのみ資料等が提出された場合の取扱いについて」を決定し,公表しました。

 

その概要は,以下のとおりです。

① 当事者の一方からパネルに対してのみ,主張や裏付け資料が提出された場合,パネルは,相手方当事者による反論等の機会が与えられていない資料等は和解案検討の際の資料とすることができない旨を告げて相手方当事者にも当該資料等を交付するよう促すなど,相手方当事者による反論等の機会を保障するための措置を講ずるものとする。

提出当事者がその求めに応じない場合には,パネルはその主張や裏付け資料等は提出されなかったものとして,手続を進め,和解案を提示することになる。

② 当事者の一方からパネルに対してのみ,手続の進め方についての意見や要望等が提出された場合において,パネルが当該意見等の提出をきっかけとして手続の進め方につき一定の判断をしようとするときは,パネルは,当該意見や要望等の内容に照らし不適当等と判断される場合を除き,相手方当事者による反論等の機会が保障されるよう,当該意見や要望等が提出されたこと及びその内容を相手方当事者に伝えるなどの措置を講ずるものとする。

③ 当事者の一方からパネルに対してのみ,パネルの提示した和解案に対する意見等が提出された場合において,パネルが当該意見等の内容につき相手方当事者の意見を聴取し,又は追加の資料等を求めることが必要と判断するときは,パネルは,当該意見等の内容を相手方当事者に示すなどして,相手方当事者による反論等の機会を保障するものとする。

 

このガイドラインは,2015年4月10日付けニュース2015年4月30日付けニュースで報告しましたように,飯舘村長泥・蕨平田畑集団ADR申立てにおいて,東京電力代理人が,東京電力基準の根拠となった不動産価格調査書を「センター限り」として提出し,センターも,申立人側には伏せてこれを検討していた問題について,当弁護団が,仲介委員の忌避を申し立てるとともに,センターに強く抗議をしていたことを契機として作成されたものと考えられます。

 

前記抗議からガイドラインの作成まで約1年半を要したことは遺憾ですが,ようやくガイドラインが作成され,センターが当事者の手続保障について,より重視する立場を明確にしたことは,評価できるものと考えます。

東京電力は,前記「センター限り」資料提出問題に加えて,和解仲介手続において,公表されておらず,申立人側には検証・反論しようのない,別件の和解仲介手続事件におけるパネルの判断等を前例として持ち出して,自己の主張を裏付けようとすることもあり,当弁護団からも抗議をしておりますが,改まっていません。

 

当弁護団は,東京電力に対して,前記「センター限り」資料提出問題の経緯と今回のガイドライン公表を踏まえ,和解仲介手続における当事者の手続保障を蔑ろにすることのないように改めて求めます。

 

本件についての問い合せ先:

原発被災者弁護団 事務局次長 弁護士 秋山直人(03-3580-3269)

 

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