【報告】東京電力、被ばく不安慰謝料支払の意向(飯舘村長泥行政区集団申立案件)

東京電力、被ばく不安慰謝料支払の意向

-長泥行政区集団申立案件の和解の状況について-

2014.2.16

原発被災者弁護団

 

 

 

福島県相馬郡飯舘村長泥行政区の住民が東京電力株式会社(以下「東京電力」)を相手方として原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」)に集団で申立てた案件(申立人数現在約180名、以下「本件」)で、東京電力は、2月7日、和解仲介案(以下「和解案」)のうち、「被ばく不安慰謝料」(一人原則50万円、妊婦と子供は100万円)を支払う意向を初めて明らかにしました(回答書)。

 

 

「被ばく不安慰謝料」は、当弁護団が、本件の最重要項目のひとつと位置づけ、賠償の実現を求めてきた損害項目です。長泥行政区住民らは、原発事故後、即時に避難が指示されなかったことから、避難が遅れ、そのために現在も被ばくについての大きな不安を抱える日々を過ごすことを余儀なくされています。当弁護団としては、この成果が、住民らの抱える不安の回復のための一助となればと切に願うところです。

 

 

もっとも、東京電力は、上記回答で、和解金の支払には応じるものの和解案の「考え方自体については受け入れられない」、「科学的合理性の見地等から相当でないと考えており、応諾することができない」などとして、被災者が抱える被ばくの不安を認定した和解案の考え方自体に異議を述べています。また、東京電力は、これまでも、被ばく不安慰謝料について、「科学的根拠が明らかでない」「他の案件に対する影響がある」などの理由で、応じられない旨あらかじめ回答していました(2013年6月2日ニュース参照)。

 

 

東京電力は、原子力損害賠償支援機構と共同で主務大臣の認定を受けることが義務づけられている新・総合特別事業計画(1月15日認定)で「センターから提示された和解仲介案を尊重する」旨明記しています。それにもかかわらず、審理を尽くした上で提示された和解案の内容に、後になって異議を述べ、ましてやこれを応諾しないなどという態度をとることは、東京電力自身がした約束を反故にし、被災者を裏切る行為と言わざるを得ず、言語道断です。このような東京電力の対応について、当弁護団は、改めて強く抗議します。

 

 

当弁護団は、記者会見等を行い上記の東京電力の対応を世間に明らかにし、これを厳しく非難してきました(2014年1月21日ニュース参照)。また、日本弁護士連合会も、東京電力に対し和解案の尊重・遵守を求めるとともに、政府に対しては東京電力にその旨強く指導することを求める会長声明を発表しています(2014年1月24日声明)。

 

 

当弁護団では、長泥行政区に隣接する、飯舘村蕨平行政区の住民による集団申立ても受任しており、センターからの和解案の提示を待っている段階です。

 

 

当弁護団は、引き続き、東京電力に対し、センターが提示する和解案を十分に尊重するよう求めていくとともに、一日も早く被災者に賠償がされるよう尽力して参ります。

 

 

以上

本ニュースのPDFファイルはこちら(116KB)

東京電力からの回答書はこちら(PDF288KB)