【ご報告】和解案に対する東京電力の対応と和解の状況について(長泥地区)

和解案に対する東京電力の対応と和解の状況について

-東京電力、和解案を拒否の意向-

原発被災者弁護団

飯舘村長泥地区担当

●個別具体的な和解案の提示

福島県相馬郡飯舘村長泥行政区の住民による東京電力株式会社(以下「東京電力」)を相手方とした原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」)への集団申立て(申立世帯数約50世帯、申立人数現在約180名、以下「本件」)に関し、昨年5月に提示された和解方針(以下「本和解方針」)に従い、同年12月以降、一部世帯について個別具体的な和解仲介案(以下「和解案」)が示されました(和解案は主張立証が終わった世帯から順次提示されることになっております)。和解案では、被ばくの不安に対する慰謝料、個別の事情による日常生活阻害慰謝料の月3割~10割の増額、高額家財の購入額の一部上乗せ等、直接請求では得られなかった賠償が認められています。

 

●和解案に対する東京電力の対応

私たちは、本和解方針は、申立人らの実情及び長泥地区の特性を踏まえた画期的かつ良識的な判断であると一定の評価をしていたところであり、東京電力が本件和解方針に沿った和解案を早期に応諾するよう切に期待していたところです(詳細は添付資料、平成25年6月2日付け「原子力損害賠償紛争解決センターの和解方針についてのご報告-飯舘村長泥行政区集団申立事件・被曝慰謝料を認める-」をご確認ください。なお、東京電力は、本件和解方針に対しても被ばくの不安に対する慰謝料(1人原則50万円の賠償を認めたものです。)を応諾しない意向を示していました(2013.6.26付けニュース参照http://ghb-law.net/?p=713)。)。

ところが、このたび、東京電力は、本年1月14日、「上申書」を提出し、昨年末に第1弾として提示された和解案のうち、被ばく不安慰謝料について、「科学的根拠が明らかでない」「他の案件に対する影響がある」などという理由で、応じられないと回答してきました。

東京電力は、ホームページで被害者の方々への「5つのお約束」として「和解仲介案の尊重」を掲げるとともに、原子力損害賠償支援機構と共同で主務大臣の認定を受けることが義務づけられている新・総合特別事業計画(平成26年1月15日に認定)でも「センターから提示された和解仲介案を尊重する」旨明記しているにもかかわらず、上記回答を行ったのです(http://www.ndf.go.jp/gyomu/tokujikei/kaitei20130606.pdf)。

このような対応は、「和解仲介案の尊重」という被災者に対する社会的な約束を反故にし、被災者の信頼を裏切るものです。また、東電がこのような対応をすることを許せば、センターの紛争解決機関としての機能は著しく損なわれてしまいます。

 

●当弁護団の対応

私たちは、本件の重要性に鑑み、去る1月15日、司法記者クラブにて記者会見を行い、和解仲介案尊重の約束に反する東京電力の対応の問題点を厳しく非難しました。

また、当弁護団は、センターに対し、東京電力に対する説得を続けることを強く求め、一日でも早く被災者に賠償がされるよう尽力して参ります。

以上

添付資料(PDF 208KB)

上記記事(PDF 92KB)