【報告】南相馬市「原町区民がみんなでこれからの生活を考える」シンポジウムのご報告

南相馬市「原町区民がみんなでこれからの生活を考える」シンポジウムのご報告

 

 

2012年7月4日

 

原発被災者弁護団

 

 

7月1日,南相馬市原町区区長連絡協議会主催の「原町区民がみんなでこれからの生活を考える」シンポジウムが開催されました。開始時刻が近づくにつれ多くの住民が集まり始め「ゆめはっと」大ホールの座席は満席となりました。1200部用意したという資料も開始時には足りなくなり,廊下のテレビモニターで見ていた方も多くいたようです。
南相馬市原町区のほとんどは緊急時避難準備区域(福島第一原発から20キロ~30キロ圏内の地域)に指定されていましたが,平成23年9月30日でこの区域指定が解除されています。この区域からの避難者には,中間指針第二次追補で,平成24年3月11日以降の第3期においても一人月額10万円を目安とする慰謝料や避難費用が支払われるとされています。しかし,同第二次追補は,平成24年8月末を避難費用及び精神的損害の賠償終期の目安としています。また,この区域の滞在者や帰還者については当弁護団が平成23年12月に集団で原子力損害賠償紛争解決センターに申立てをした件については避難者とほぼ同等慰謝料やその他の損害の賠償が認められることになりましたが(詳しくはhttp://ghb-law.net/?p=377),決して十分なものではなく,また,この申立を行っていない滞在者や帰還者に対してはこれと同等の賠償が行われるか否かは不確定な状況にあります。
しかしながら,南相馬市原町区の現状は,今なお人口が回復しないばかりか,インフラ整備,コミュニティの回復,除染作業等は不十分な状況にあり,避難者も滞在者も生活阻害の精神的苦痛を抱え続けています。
そこで地域住民が生活実態を訴え,安易に賠償を打ち切られることのないよう一致団結して開催したのが本シンポジウムになります。
シンポジウムでは児玉龍彦教授による放射線による健康被害と除染の講演,弁護団員小海範亮弁護士による賠償終期についての講演,南相馬市立総合病院副院長,北町保育所の副所長,農業従事者,専業主婦の方それぞれの立場からの南相馬市の実情の説明がありました。いずれも南相馬市の抱えている多くの課題を具体的に示すものであり,多くの人で共有できたことは大変有意義でした。
当弁護団としては本シンポジウムが南相馬市の復興,原発事故により被害を受けた全ての方の生活再建の契機になることを切に望むものです。

 

以上

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当弁護団の小海範亮弁護士の講演資料はこちら(321KB)