【意見】センター和解案に対する東京電力の抵抗・拒否について

 

 

センター和解案に対する東京電力の抵抗・拒否について

 

平成26年3月4日

   原発被災者弁護団

 

 

 

原子力損害賠償紛争解決センタ-(以下「センター」といいます)の和解案に対する東京電力による拒否件数が明らかになりました。文部科学省の研究開発局長が述べたという報道によると、平成26年2月26日現在15件存在し、すべて東京電力の社員か家族による申し立てによるものとのことです。

 

 

東京電力の社員やその家族も、避難等対象区域からの避難を強いられるなど様々な面で原発事故により大きな被害を受けています。後述するように、センターの和解案を尊重するべきであることは社員以外の方の場合と変わりありません。社員であることを理由に和解案を拒否するのは、明らかに差別であり不当です。

 

 

また、当弁護団の扱った案件の内、平成26年2月10日までの集計によればセンターの和解案に対して東京電力が再考や回答期限の延長を上申するなどして何らかの抵抗を示したものが少なくとも10件あることが判明しています。その中には、和解案の回答期限が2週間以内とされていたにも関わらず、東京電力が和解案に反対する意見を何度も述べ、最終的に全て受諾するまで約3か月もかかったケースもありました。最終的には受諾したとしても、このように和解案の受諾まで時間をかけ、被害者救済を遅らせることはよりいっそう被害者の不信や不安を増大させるものです。センターからの和解案が提示される前に、東京電力には主張及び立証を十分尽くす機会があったことを踏まえると、このような対応は、あってはならないことです。

 

 

そもそも東京電力は、ホームページで被害者の方々への「5つのお約束」として「和解仲介案の尊重」を掲げるとともに、原子力損害賠償支援機構と共同で主務大臣の認定を受けることが義務づけられている新・総合特別事業計画(平成26年1月15日に認定)でも「センターから提示された和解仲介案を尊重する」旨を明記しています(http://www.meti.go.jp/press/2013/01/20140115001/20140115001-3.pdf)。国が多額の国費を支出しているのも当該約束を履行することを前提にしてのことです。

 

 

東京電力への直接請求では納得がいかない被害者がセンターに被害救済を求めているにも関わらず、和解案を拒否する東京電力の対応は、センターの存在意義の否定です。

 

 

上記した対応は、原発事故で被災した者にとり再度の精神的被害を与えることを東京電力は直視すべきです。

 

 

東京電力に対して、仲介委員が提示した和解案について再考や回答期限の延長を求めることなくすみやかに受諾することを強く求めます。

以 上

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