【報告】南相馬市小高区集団申立事件におけるADRからの和解案のご報告

南相馬市小高区集団申立事件における

原子力損害賠償紛争解決センターからの和解案のご報告

 

平成257月23日

 

原発被災者弁護団

第1 南相馬市小高区集団申立について

  当弁護団では、南相馬市小高区の地域コミュニティが喪失したことによる精神的損害の増額や実費の正当な賠償などを求めて、原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」といいます。)に対し、平成24年7月末から12月末にかけて、193世帯606人の集団申立を行ってきました。

 

第2 センターからの和解案の提示

センターは、平成25年6月28日付で12件の代表世帯(以下「チャンピオン世帯」といいます。)に関する具体的な和解案と同申立事件全件に共通する解決基準を示す「連絡書」(以下「連絡書」、和解案と「連絡書」で示された基準を「本件解決基準」といいます。)を提示しました。

 

 

当弁護団は、7月19日に福島県庁内において、本解決基準への評価及び今後の方針などについて記者会見を行いましたので、ここにご報告する次第です。(記者会見資料はこちらをクリック,PDF)

 

 

当弁護団としては、本件解決基準が生活費増加分の定額化と疎明資料の大幅な簡略化の方向性を打ち出し、避難に伴う世帯分離等による生活費増加分の損害認定や、特に「家財購入費・被服費・日用品費用」は疎明資料なしに最低賠償額を認めている点について、被災者の立証の負担軽減し、迅速適正な被害回復を図るという視点から評価する一方、主要な論点であった避難に伴う「小高区の地域コミュニティ喪失による損害賠償」については何ら認めず、その理由についても何ら言及がなされていないことに対し、センターの姿勢は極めて不十分であるだけでなく、小高区の皆様をはじめとする現在も仮設住宅等での避難生活を強いられている多くの被災者に対する賠償の観点からも問題があると言わざるを得ないと考えています。

 

 

当弁護団としては、センターが打ち出した生活費増加分の定額化と疎明資料の大幅な簡略化の方向性については、和解案尊重の約束を表明している東京電力は速やかに受諾することを強く求めるとともに、「小高区の地域コミュニティ喪失による損害賠償」については、センターに対して、小高区の地域コミュニティ喪失による精神的被害を損害として計上すべきことを改めて求めていくとともに、訴訟を含めて今後の対応を検討する予定です。

 

 

なお、本件解決基準に対する評価や問題点の詳細については、当弁護団の声明文をご覧ください。

 

 

また、申立人の方には、担当弁護士より、「東京弁護団ニュース Vol.6」をお送りいたしますので、あわせてご確認ください。

 

 

以上

 

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7月19日の記者会見資料はこちら