伊達市小国,坂ノ上・八木平,相葭地区集団申立てのご報告

 

 

伊達市小国,坂ノ上・八木平,相葭地区集団申立てのご報告

 

2013年2月5日

原発被災者弁護団

 

2013年2月5日,伊達市霊山町(りょうぜんまち)の小国(おぐに),坂ノ上・八木平(やぎへい),月舘町(つきだてまち)の相葭(あいよし)地区住民による原子力損害賠償紛争解決センターへの集団申立てをしました。

 

1 申立人について

(1) 伊達市霊山町小国,坂ノ上・八木平,月舘町相葭地区の特定避難勧奨地点の指定を受けていない世帯の方

(2) 申立世帯数,人数

 

地区

世帯数

申立人数

坂ノ上・八木平地区

22世帯

63人

相葭地区

4世帯

18人

上小国地区

135世帯

407人

下小国地区

162世帯

503人

合計

323世帯

991人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 請求内容,規模

(1) 平成23年3月11日から和解成立まで一人あたり月10万円の精神的損害に対する慰謝料

(2) 約20億円規模の請求

 

今回の申立ての趣旨及びポイントは以下の通りです。

 

申立人らが居住する本件各地区は,平成23年6月,政府の原子力災害対策本部により特定避難勧奨地点制度(※1)が適用されました。これにより同じ地区内で,特定避難勧奨地点に指定された世帯と指定されなかった世帯とが生じることとなりました。

指定を受けた世帯については,一人あたり毎月10万円の慰謝料が被申立人から支払われるほか,避難費用の賠償や,医療費,国民健康保険料,介護保険料の無料化等の支援がなされる一方で,指定を受けない世帯についてはいわゆる自主的避難等対象区域の賠償のみという大きな格差が生じてしまいました。

しかしながら,本件各地区は,地区全体が高度な放射能汚染に晒されており,住民は,特定避難勧奨地点の指定の有無にかかわらず,放射能汚染による農業や事業への深刻な被害を受けています。また,一時避難をする,外出を控える,ガラス線量計の携帯(※2)を求められる等により日常生活を阻害されるとともに,被ばくによる健康被害への恐怖や将来への不安といった精神的苦痛を皆一様に強いられています。さらに,指定の有無により近隣住民の間に不公平感や亀裂が生じたことも多くの住民が訴えています。

かような状況で,十分な賠償や各種支援制度の適用を受けられない住民が最低限の賠償とコミュニティの修復を求め,原資力賠償紛争解決センターに集団で申立をしました。

 

<本申立のポイント>

①  特定避難勧奨地点指定区域での初めての集団申立であること

②  申立人らには様々な損害が生じているものの,損害項目を慰謝料のみに絞っていること

③  個々人の特別な事情で慰謝料額を決定するのではなく,「少なくとも」特定避難勧奨地点に指定された世帯同様の賠償を求めるという趣旨で,平成23年3月11日から和解成立まで一人あたり月10万円の慰謝料を求めること

④  高度な放射能汚染被害を正面から取り上げること

⑤  原発事故によるコミュニティの崩壊も問うものであること

⑥  300世帯,1000名規模の大集団申立であること

 

※1 特定避難勧奨地点

計画的避難区域及び警戒区域以外の場所で,計画的避難区域とするほどの地域的な広がりはないものの,事故発生後1年間の積算放射線量が20mSvを超えると推定される地点をいう。伊達市内の特定避難勧奨地点は2012年12月14日に指定解除された。

 

※2 ガラス線量計

 外部被ばく量を測定する個人積算線量計のことであり,ガラスバッジともいう。伊達市は児童生徒を中心に妊婦および高線量地域の大人など約1万人超にガラスバッジを配布し,3ヶ月ごとに累積被ばく量を測定している。

 

 以上