原発事故避難関連死一斉申立のご報告
平成24年12月2日
原発被災者弁護団
当弁護団では,本年11月30日,原子力損害賠償紛争解決センターに対して,原発事故による避難関連死をした方の遺族による損害賠償請求の申立を以下の通り行いました。
1 申立て件数
・申立て件数 6件(亡くなった方の人数:7名、申立人:12名)
※80歳代:5名、60歳代:2名
・災害関連死の認定 :認定済み6名、申請準備中1名
・亡くなられた方の事故時の居住地域
南相馬市6名(原町区3名,小高区3名)、大熊町1名
2 申立て内容
・請求総額 約2億円
※亡くなった方1名につき、約2500万〜3000万円
・主な請求項目
① 死亡慰謝料(遺族固有の慰謝料含む) 2200万円
② 葬儀費用 150万円 ※それ以上かかった場合にはその金額
③ 逸失利益 ※将来の年金収入について損害と算定
④ 入通院慰謝料
⑤ 避難生活中の慰謝料
⑥ 弁護士費用
※上記6件の申立案件に加え、他に15件程の原発事故避難関連死の事件を受任しており、全体の数としても今後相当の申立件数となることが予想されます。
復興庁は、「東日本大震災による負傷の悪化等により亡くなられた方で、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、当該災害弔慰金の支給対象となった方」を震災関連死と定義し、この震災関連死の数は、今年9月末時点で全国で2303人、うち福島県在住者が1121人におよんでいると報告しています。
このように、震災関連死の数が福島県在住者に突出していること、災害弔慰金は、避難生活での肉体的・精神的な負担により死亡した方や、震災等で治療を受けることができずに既往症が悪化して死亡した方をも対象に支給されている実情があることからすれば、福島県在住者の震災関連死は、原発事故による避難の長期化による精神的肉体的負担の増大や治療機会の喪失が大きく影響しているものと判断されます。
このことから、当弁護団では、原発事故による避難生活中の精神的肉体的負担の増大や治療機会の喪失等の原発事故の影響により死亡した場合を「原発事故避難関連死」と定義することとしました。
過酷な避難生活等の中,本件原発事故さえなければ決して失われることのなかった多くの貴い命があります。いうまでもなく,個人の生命は何物にも替えることができない貴いものであり,この貴い個人の生命を侵害することとなった本件原発事故につき,東京電力は最大限の誠意をもって賠償の責めに任ずる立場にあると考えています。
また、原発事故をめぐっては、被災者らが全国各地で告訴・告発状を相次いで提出し、検察当局も「震災関連死」と認定された被災者の遺族から、参考人として事情聴取する方針を固めたなどと報道がされております。かかる観点からも原発事故による避難関連死は極めて重大なテーマであると認識しています。
当弁護団は,原発事故による避難関連死案件について,これまで同様,東京電力に対する賠償責任を厳しく追及していく所存です。
以 上