【報告】避難慰謝料増額和解例のご報告

 

避難慰謝料増額和解例のご報告

 

 

 

2012年11月27日

 

 

 

原発被災者弁護団

 

 

 

 当弁護団が2012年3月に申立てをした件で,原子力損害賠償紛争解決センターから,避難開始より17ヶ月間の避難慰謝料を月額25万円で算定するとの和解案が提示され,東京電力が最終的にその和解案で提示された慰謝料総額を支払うことを受諾する内容の和解が成立しました。中間指針で示されている避難慰謝料月額10万円をはるかに上回る金額での解決例としてご報告いたします。

 

 

 

1 事案の概要

 

  申立人は,障がいのため日常生活に様々な制限があるため,他の避難者に比し避難生活への適応が著しく困難である。また,申立人は,帰宅が困難な地域から避難しているが,不動産等の財産を所有していなかったため,賠償によりまとまった金額を得る可能性がなく,障がいもあることから,生活再建が著しく困難である。

 

 

 

2 和解成立に至る経緯

 

  仲介委員は,他の事案と比較し,本件では生活再建が著しく困難という特殊性に着目し,平成23年3月から平成24年7月までの17か月間の避難慰謝料を月額25万円(合計425万円)とする和解案を提案した。

 

これに対し,東京電力は,他の事案との均衡を図るとの理由から,月額15万円×17か月分及び一時金170万円(合計425万円)とする和解案を提案し,その後,月額18万円×17か月及び一時金119万円とする和解案(合計425万円)を提案した。

 

  最終的に,仲介委員が提示した和解案の慰謝料総額に変更はないこと,和解契約書に月額の慰謝料額を20万円と明記することとなったため,合意に至った。

 

以上