【報告】伊達市霊山町小国地区・石田地区住民への賠償説明会のご報告

伊達市霊山町小国地区・石田地区住民への賠償説明会のご報告

平成24年10月17日

原発被災者弁護団

 

 

 

当弁護団は平成24年10月6日,7日に福島県伊達市霊山町の小国地区,石田地区を中心に住民への賠償説明会を行いました。

 

 

伊達市は避難指示区域とされていませんが,一部の世帯が特定避難勧奨地点として指定されています。特定避難勧奨地点とは事故発生後1年間の積算線量が20ミリマイクロシーベルトを超えると推定される特定の地点のことです。伊達市内では現在約130カ所の世帯が指定を受けています。

 

 

政府は当該地点について避難指示をするわけではありませんが,注意喚起,避難の支援,促進を行うとされています。東京電力からは特定避難勧奨地点に設定された日から避難指示区域の住民同様の賠償を受けており,また医療費,税金免除等の各種優遇措置を受けています。

 

 

一方,特定避難勧奨地点の指定を受けなかった家の住民は,いわゆる自主的避難者同様に避難の有無に関わらず大人一人定額8万円(子ども・妊婦は避難をしていない場合は40万円,避難をしている場合は60万円)の賠償を受けるのみで,医療費や税金免除の優遇措置はありません。

 

 

しかしながら,指定を受けなかった世帯でも敷地内で放射線量を測定すると高い放射線数値を示すことは珍しくありません。自治体の測定方法や測定基準には多くの疑問が指摘されています。特定避難勧奨地点の指定を受けた世帯も指定を受けなかった世帯も同じ町の住民同士であり,高い放射線量に不安や恐怖を感じ,原発事故前と比較して不便な生活を強いられるようになった点は全く同じなのです。

 

 

指定を受けなかった世帯は最低限の賠償金すら得られない上に,賠償の格差をつけられたことで町のコミュニティが崩壊されたことでも多大な精神的苦痛を受けています。これらの住民が到底納得できないとして不満を訴えてきたことにより,今回の住民説明会が実現しました。

 

 

当弁護団は今後,原子力賠償紛争解決センターへの集団申立を通じてこのような不合理の是正を訴えていくつもりです。

以上