南相馬市小高新生ビジョンに関するシンポジウムのご報告

南相馬市小高新生ビジョンに関するシンポジウムのご報告

2012年8月23日

 

 

原発被災者弁護団

8月13日,南相馬市原町区の南相馬市民文化会館(ゆめはっと)において,南相馬市小高区民が組織した「すばらしい『まちなか』にする会」主催の「小高新生ビジョンに関するシンポジウム」が開催されました。当日は,約350名の住民が集まり,当弁護団も参加しました。南相馬市小高区は,福島第一原発から20キロ圏内の警戒区域内にありましたが,避難区域の見直しにより本年4月16日から避難指示解除準備区域となっています。現在,住民等は立ち入ることができますが,宿泊や住民を対象とした事業の再開はできません。

 

 

当日は,会場の前にたくさんの小高区民の方が,開演を待っている様子がみられ,小高区の今後に対する関心の高さがうかがわれました。

 

 

シンポジウムでは,第1部として,奥山修司福島大学教授による小高「新生ビジョン」についての基調講演,第2部として,山澤征小高行政区長連合会会長らをパネリストに迎え,「小高の将来」についてのパネルディスカッションが行われ,第3部として,当弁護団団長の丸山輝久弁護士,弁護団員の外山太士弁護士による原子力損害賠償の現状と財物賠償についての講演が行われました。

 

 

経済産業省の示した「避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方」の基本方針では,「帰還した上での生活再建や,新たな土地における生活の開始など,それぞれの選択に可能な限り資するような賠償の枠組みとする」と明示しています。

 

 

しかし,東京電力が公表した財物賠償に関する基準では,被害を受けた方の生活再建を実現するには程遠いものとなっています。

 

 

そこで,外山弁護士が東京電力がプレスリリースで示した賠償基準の問題点を指摘し,生活再建を可能にするような別の財物賠償基準を1つの考え方として示しました。詳しくは別途当ホームページで報告させて頂く予定です。

 

 

シンポジウムにおいて,小高の復興は小高区民の手で行いたいという復興に向けた強い思いに触れることができたことは,大変貴重なものとなりました。一日も早く新生小高が実現することを切に願います。