【報告】南相馬市小高区集団申立のご報告

南相馬市小高区集団申立のご報告

 

平成24年7月31日

 

 

当弁護団では,7月31日,原子力損害賠償紛争解決センターに対して,南相馬市小高区に居住していた住民59世帯183人について,和解仲介の集団申立てを行いました。南相馬市小高区は一部を除いて平成24年4月16日から避難指示解除準備区域に指定されている地域です。現在,立入りは可能ですが宿泊はできず,完全な解除には至っていません。

 

 

 

今回の申立の請求金額の総額は,14億7783万6553円となります。

 

 

 

請求費目は,避難費用(移動費用・宿泊費用等),一時立入費用,慰謝料,生命身体的損害,就労不能損害・営業損害です。財物損害と生活費増加分などその他の損害については,追って請求する予定です。

 

 

さらに,今回の集団申立では,日常生活阻害慰謝料に加えて南相馬市小高区のコミュニティが破壊されてしまったことに対する慰謝料をも請求していることが特徴的です。南相馬市小高区は,元々相馬氏によって鎌倉時代から明治維新まで統治された場所であり,城下町として栄えた歴史ある町です。そのため,南相馬市小高区には,数多くの民俗芸能や歴史ある祭り等が存在し,住民同士の繋がりも深く濃いものとなっていました。しかし,原発事故によって,南相馬市小高区は福島第一原発から20キロ圏内にあることから警戒区域に指定され,南相馬市小高区が築き上げてきた伝統・文化・コミュニティが事実上破壊されてしまいました。そこで,本件集団申立では,このことを重く受け止め,慰謝料請求の理由として指摘しました。