【報告】 都路町訴訟第19回口頭弁論期日等について

【報告】 都路町訴訟第19回口頭弁論期日等について

 

1 第19回口頭弁論期日について

令和元年6月21日(金)午後2時,福島地方裁判所郡山支部303号法廷において,第19回都路町訴訟口頭弁論が開かれました。

 

2 主張書面の概要について

⑴ 原告が提出した原告第65準備書面から第69準備書面の内容は,次のとおりです。

(原告第65準備書面)

被告東電準備書面(24)に対する反論です。原告第54準備書面,原告第61準備書面を補充しつつ,被告東電の都路地区が復興しているという主張は,実態を反映していない表面的な主張に過ぎないことを指摘する書面です。

(原告第66準備書面)

本件事故前の放射線に関する規制や,事故後の除染計画等という観点からも,受忍限度は年間1mSvであり,田村市都路地区の被害は続いていることを主張する書面です。

(原告第67準備書面)

福島県の状況を踏まえ,野田首相の「収束宣言」や安倍首相の「アンダーコントロール」発言は,実態を無視して,政治的な目的でなされたものにすぎず,賠償終期を基礎付けるものではないことや,南相馬市小高区や二本松市で実証実験をしようとしている汚染土の再利用問題や現在の廃炉の進展状況からして,被害は今もなお続いていることを主張する書面です。

(原告第68準備書面)

東京高等裁判所(群馬県への避難者が中心となって行っている訴訟)や東電元役員刑事事件において行われた今村文彦氏の証人尋問の結果を指摘しながら,①福島第一原発1号機は,津波が到来する前に全交流電源が喪失しており,②長期評価に信頼性が認められ,③原告らが主張している結果回避措置を講じていれば,本件事故は回避できたものであり,被告国の主張は,自らが依って立つ今村文彦氏の供述からも否定されることを主張する書面です。

(原告第69準備書面)

平成18年から開始された耐震バックチェックの際,被告東電社内では,担当者レベルでは,敷地高さを超える津波への対策が必要と考えられていたにもかかわらず,上層部が経営上の問題(費用がかかること)から津波対策を先送りし,被告国も耐震バックチェックの進捗管理を行わず,被告東電の先延ばしを容認していたことを論じる書面です。

 

⑵ 被告国が提出した第29準備書面及び第30準備書面の内容は,次のとおりです。

(被告国第29準備書面)

原告第56準備書面及び原告第57準備書面に対する個別的な反論です。被告国には敷地高さを超える津波を予見することはできず,責任はないことを主張しました。

(被告国第30準備書面)

福島県民健康調査に対する津田敏秀氏らの論文について論じるものです。津田敏秀氏らの福島原発事故で小児甲状腺がんが増加したという見解は誤りであり,それを基にする原告らの主張には理由がなく,年間20mSv以下の地域について賠償を打ち切ることは妥当である旨を主張しました。

 

⑶ 被告東電が提出した準備書面(25)の内容は,次のとおりです。

(被告東電準備書面(25))

原告第54準備書面及び原告第61準備書面への反論です。都路地区は復興しており,都路地区の住民には損害がないことを主張しました。

 

3 原告の意見陳述について

原告の1人が,法廷で,移住して作り上げてきた都路での生活が原発事故により崩壊したことや現在の地域の状況などについて意見を述べました。

 

4 進行協議期日について

今後の主張立証につき,進行スケジュールの確認をしました。

原告から,国及び東電の主張に対して反論の書面を出す可能性があることを示唆しました。損害論については,引き続き陳述書を出していく予定である旨を述べました。

被告国は,原告のバックチェックに関する主張に対して次回期日において反論すること,及び,原告第69準備書面に対しても次回以降に反論する予定である旨を述べました。

被告東電は,過失論,損害論について,適宜反論をしていく旨を述べました。

その他,専門家証人の採否,並びに,原告本人尋問及び専門家証人の尋問の実施時期について,整理がなされました。

 

5 今後の期日について

第20回期日:令和元年8月30日(金)14時~

第21回期日:令和元年10月18日(金)開始時間未定

第22回期日:令和元年12月12日(木)開始時間未定

*場所はいずれも福島地方裁判所郡山支部303号法廷です。

 

【本件についての問合せ先】

原発被災者弁護団都路町担当 弁護士 林 浩靖(03-6912-9271)