【報告】 都路町訴訟第17回口頭弁論期日等について

【報告】 都路町訴訟第17回口頭弁論期日等について

 

1 第17回口頭弁論期日について

平成31年3月1日(金)午後2時,福島地方裁判所郡山支部303法廷において,第17回都路町訴訟口頭弁論が開かれました。

 

2 主張書面の概要について

⑴ 原告が提出した原告第55準備書面から第61準備書面の内容は,次のとおりです。

(原告第55準備書面)

原告提出の木村俊雄氏の意見書に基づき,福島第一原発1号機に小規模配管の破損があったこと,ジェットポンプ計測ラインのローカットフィルタリングが存在していないこと,平成3年溢水事故が津波対策の必要性も基礎づけていること等を主張する書面です。

(原告第56準備書面)

責任論の最大の争点が2002年「長期評価」の信頼性の有無となっていますが,原告第56準備書面では,当該「長期評価」の信頼性を否定する被告らの主張には何ら根拠がないこと,被告国が提出している津波の予見可能性に関する意見書の誤りを指摘しています。

(原告第57準備書面)

被告国第21準備書面等で長期評価に対する確率論に関する被告国の主張が,安全対策の放棄に他ならず,何ら合理性を有するものではないことを主張しています。

(原告第58準備書面)

IAEA事務局長報告書は将来に向けた文書であるから事故当時の基準(行為規範)になってないという被告らの主張に対し,同報告書は事故前の知見や安全基準に照らして事故を分析していることから十分事故当時の基準(行為規範)になっていたと反論しています。

(原告第59準備書面)

原告が提出した低線量被爆に関する津田研究に対する被告東電の主張が失当であることを指摘したうえ,福島県「県民健康調査」甲状腺検査の結果に反して被告東電が甲状腺がんは多発していないと主張する根拠等について説明を求めています。

(原告第60準備書面)

原告らが原発事故の発生とその後の放射性物質による汚染や放射線被ばくにより強い恐怖感・不安感を抱いていることについては,心理学的に見ても合理性があることを主張しています。

(原告第61準備書面)

都路の被害は森林被害にとどまるものではなく,地域の自然環境の破壊から様々な被害が生じていること,都路周辺地域の状況にも影響が及んでいること,被害状況を無視した被告国による不適切な線引きが賠償問題を引き起こし地域分断により社会環境も破壊されたこと等を主張しています。

⑵ 被告国が提出した第27準備書面及び第28準備書面の内容は,次のとおりです。

(被告国第27準備書面)

副題「予見可能性に関する統一準備書面」との記載にもあるとおり,本件事故当時,被告国は津波を予見できなかったゆえに規制しようがなかったということをまとめた書面です。現在,被告国は日本中で裁判所に提出している書面です。これに対しては原告がこれまで主張・反論してきていますが,必要があれば更に反論していく予定です。

(被告国第28準備書面)

東電役員の刑事事件で証人となった今村文彦東北大学教授の証言について,国がフォローする内容の書面です。

⑶ 被告東電が提出した準備書面(22)の内容は,次のとおりです。

(被告東電準備書面(22))

低線量放射線被ばくによる健康影響に関して,200ミリシーベルトを超えないと病気になる可能性はないという主張内容になっています。

 

3 原告の意見陳述について

原告の1人が,法廷で,避難生活や仮設住宅での生活,共同店舗の経営の苦労,地域社会が壊されてしまったことなどについて意見を述べました。

 

4 進行協議期日について

今後の主張立証につき,進行スケジュールの確認をしました。

原告から,反論が未了となっている被告らの準備書面への反論と陳述書を出していく予定である旨を述べました。

被告国は,責任論で反論が未了になっている原告準備書面への反論を提出していく予定である旨を述べました。

被告東電は,責任論,損害論について,積み残しの反論をしていく旨を述べました。

その他,原告本人尋問,専門家証人の尋問を含めた今後の進行予定について,整理がなされました。

 

5 今後の期日について

平成31年4月26日(金)14時~

令和元年 6月21日(金)14時~

令和元年 8月30日(金)14時~

令和元年10月18日(金)10時~(開始時刻は変更になる可能性あり)

令和元年12月12日(木)10時~

令和2年 2月13日(木)10時~

*場所はいずれも福島地方裁判所郡山支部303号法廷です。

 

【本件についての問合せ先】

原発被災者弁護団都路町担当 弁護士 林 浩靖(03-6912-9271)