【報告】ADR1号事件口頭審理期日再開の報告及び抗議声明

ADR1号事件口頭審理期日再開の報告及び抗議声明

2012年2月9日

原発被災者弁護団

 当弁護団が原子力損害賠償紛争解決センターに申立てた1号事件につき,同センターの出した和解案(本和解案)を申立人らが受諾したにも関わらず、東京電力が同センターの和解案尊重義務を順守せずに拒絶したことは,平成24年1月26日付当弁護団「ADR1号事件の和解案に対する東京電力の回答への抗議」の通りです。
これを受けて、申立人らの要請により、本日,センターにて口頭審理期日が再開されましたが,東京電力は、全国にある各弁護団、日本弁護士連合会、福島県弁護士会、双葉町役場をはじめとする各団体及び多くの被災者の抗議・非難にも関わらず、センターの本和解案の受け入れを拒絶する態度を維持しました。
このような態度は、東京電力自らが平成23年10月28日付けの「特別事業計画」において明示したセンターの和解仲介案の尊重義務(下記「5つのお約束」参照http://www.tepco.co.jp/images/5promises.pdf#search)に真っ向から反することになります。また、原発被害に遭われた数多くの方の生活再建を妨げるものであり、断じて許されるものではありません。
当弁護団は東京電力の今なお加害者意識の欠けた対応に強く抗議するものです。

センターは、本日,東京電力に再考を促し、2月27日(月)16時半~ 再度,口頭審理期日が設けられることになりました。当日に、東京電力が本和解案を受諾するのか、しないのかの結論を出すことになっています。
これを受けて当弁護団は、以下の上申書を,センター及び東京電力に送付しましたのでご報告いたします。

 

 

 

平成24年2月9日

上申書

原子力損害賠償紛争解決センター 御中

 

申立人ら代理人  弁護士  清 水  卓

平成24年2月9日(木),仲介委員による平成23年12月27日付「和解案提示理由書」の受け入れを東京電力が拒否したため,申立人らの要請により第1号事件の期日が再開されたが,結局,本日は和解の成立には至らなかった。
今後,同月27日(火)16時半からの口頭審理期日において,東京電力の最終回答を受けることとなっている。申立人らは,以下の理由から,東京電力が仲介委員の和解案を全面的に受け入れない限り,和解不成立と終わることもやむを得ないと考えている。
申立人らが求めているのは,生活再建を実現することができる完全賠償である。前記和解案は,避難生活が未だに続く中,迅速な賠償の実現に向け,当面の生活を維持するための必要最低限の金額を提示したものに過ぎないのであって,その受け入れは申立人らにとっても苦渋の選択であった。申立人らにこれ以上の譲歩の余地はない。
原発事故から約1年もの避難生活を強いられ,未だ生活再建の目途も立っておらず,本申立てから既に半年が経過しようとしている中で,早期の解決は申立人らの切実な願いである。
申立人らは,東京電力が申立人らの置かれた窮状を真摯に受け止め,国民に約束した和解案の尊重義務を遵守し,前記和解案を全面的に受け入れることを強く求める。

以 上

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