1 第16回口頭弁論期日について
平成30年12月21日(金)午後2時,福島地方裁判所郡山支部303法廷において,第16回都路町訴訟口頭弁論が開かれました。
2 主張書面の概要について
⑴ 原告が提出した原告第51準備書面から第54準備書面の内容は,次のとおりです。
(原告第51準備書面)
いままで原告がしてきた責任論についての各主張の関係性をまとめたものです。
(原告第52準備書面)
第52準備書面は,東電準備書面(15)についての反論です。東電は原告の主張は結果論にすぎないと反論していますが,東電は津波到来による電源喪失の可能性を前提とした備えをとるべきであったと主張する書面です。
(原告第53準備書面)
甲状腺がんによる死亡リスクに関する書面です。最高裁判例が因果関係の立証について必要とする「高度の蓋然性」に関して,どれぐらいの死亡リスク増加が認められれば「高度の蓋然性」が認められるのかということを主張する書面です。
⑵ 被告国が提出した第26準備書面の内容は,次のとおりです。
(被告国第25準備書面)
原告第30準備書面に対する反論です。原告第30準備書面では,IAEA事務局長報告に基づいて,国際的な必要とされるレベルの対応をしていなかったと主張しました。これに対して国は,IAEA事務局長報告は,事故の法的責任追及を目的としたものでなく,事故を踏まえて,その教訓を世界に示すものにすぎず,法的責任追及のために使うことはおかしいと反論しました。
⑶ 被告東電が提出した準備書面(21)の内容は,次のとおりです。
(被告東電準備書面(21))
小児甲状腺がんについての書面です。原告は,津田先生の研究をもとに主張しています。これに対して,東電は,津田先生の県民健康調査に基づく主張が誤っていると反論しました。例えば県民健康調査の数値では甲状腺がんが増えていますが,それは甲状腺がんがもともと発症しても自覚症状がないので,単に県民調査をしたことで事故以前に甲状腺がんにかかっていた人たちが調査によって見つかった結果にすぎないといった内容です。
3 原告の意見陳述について
原告の1人が,法廷で,避難生活の苦労や,都路でできなくなってしまった山菜取りなどについて意見を述べました。
4 進行協議期日について
今後の主張立証につき,進行スケジュールの確認をしました。
原告から,責任論について概ね主張は終了しているが,東電役員刑事裁判の記録に基づいた主張は出す可能性があることを示唆しました。損害論については,次回期日から陳述書を出していく予定である旨を述べました。
被告国は,責任論について,予見可能性について総括した書面,今村教授の意見書についての準備書面,および,原告第48準備書面に対しての反論準備書面提出予定である旨を述べました。また,損害論については,可能であれば,福島県民健康管理調査に関する主張について反論予定でいる旨述べました。
被告東電は,過失論,損害論について,積み残しの反論をしていく旨を述べました。
その他,原告証人尋問,専門家証人の尋問,検証,現地進行協議の実施時期について,整理がなされました。
5 今後の期日について
平成31年3月1日(金)14時~
平成31年4月26日(金)14時~
平成31年6月21日(金)14時~
*場所はいずれも福島地方裁判所郡山支部303号法廷です。
【本件についての問合せ先】
原発被災者弁護団都路町担当 弁護士 林 浩靖(03-6912-9271)