【報告】福島市渡利集団ADR申立てで,東電の和解案受諾拒否により,和解仲介手続打ち切り

【報告】福島市渡利集団ADR申立てで,

東京電力の和解案受諾拒否により,和解仲介手続打ち切り

原発被災者弁護団

2019.1.11

 

2018年12月3日付けニュースでご報告しましたように,福島市渡利地区の集団ADR申立て(申立人は1107世帯・3107名/申立時点)において,原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」)は,渡利地区内で特定避難勧奨地点の設定が検討されたと推認される各地点(合計2地点)を中心に半径500メートルの範囲内にあると認められる申立人(和解案の対象となる申立人は暫定172世帯・482名)らに,1人あたり金10万円の慰謝料を支払うべきとする和解案を提示した上,同年11月15日付けで「和解案受諾勧告書」を提示し,東京電力に対し,和解案を受諾するよう強く勧告するとしていましたが,東京電力は,3度目の和解案受諾拒否回答を行っていました。

 

このような東京電力の対応を受け,センターは,2019年1月10日付けで,和解仲介手続を打ち切る旨の通知を行い,センターのHPで「和解案提示理由書」「和解案受諾勧告書」を公表しました。

 

約3100名もの福島市渡利地区の住民が立ち上がり,弁護団とともに多くの立証活動や現地調査,現地口頭審理期日を行い,センターを動かし,僅少とはいえ和解案の提示に至ったにもかかわらず,東京電力が和解案拒否という頑なな態度を取り続けたことにより,和解仲介手続の打ち切りに至ったことは,大変に残念です。

 

自社の見解に固執し,累次の総合特別事業計画において《センターの和解案を尊重する》旨を繰り返し誓約しているにもかかわらず,同誓約を反故にして,国の設置した準司法機関たるセンターの和解案の受諾を拒否し続けた東京電力の態度は,極めて横暴であり,許し難いものです。このような態度が続けば,センターの紛争解決機能は失われてしまいます。

当弁護団は,東京電力に対し,厳重に抗議します。

また,政府に対して,センターの紛争解決機能に実効性を持たせるため,センターの提示する和解案に片面的拘束力を持たせる法改正を求めます。

 

本件についての問い合せ先:

弁護士 秋山直人(03-3580-3269)

 

本ニュースのPDFファイルはこちら(109KB)