【報告】飯舘村長泥・蕨平田畑集団申立てで,東電の和解案拒否により,センターが手続を打切り

【報告】飯舘村長泥・蕨平田畑集団申立てで,東京電力の和解案拒否により,センターが和解仲介手続を打ち切り

 

2017.12.8付けニュースでお伝えしましたように,飯舘村長泥・蕨平の住民72世帯77名が申し立てた,田畑の財物損害の東京電力基準以上の賠償を求める集団申立てで,原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」)が,平成29年2月14日に提示した,東電基準を上回る和解案(和解金額は,提示後一部修正があり,和解案が提示された71世帯76名合計で約1億7080万円,以下「本和解案」)について,センターは,東京電力に対し,進行協議期日で詳細に和解案の提示理由を説明するなどして,和解案の受諾を勧告していました。

 

しかし,東京電力は,東京電力基準以上の支払には応じられないとの態度を変えず,センターからの最終的な意思確認に対しても,平成30年11月9日付けで,和解案を受諾できない旨の回答書を提出していました(3回目の受諾拒否回答となります)。

 

これを受け,センターは,平成30年12月20日付けで,東京電力が和解案を受諾しないため,和解仲介手続の継続が困難であるとして,和解仲介手続を打ち切る旨を通知しました。

 

この田畑集団申立ては,平成26年10月に申し立てたもので,申立人らが東京電力基準による田畑の賠償水準の低さを指摘し,2年4か月の審理を経てセンターが増額を提示したにもかかわらず,東京電力が和解案受諾を拒否し続けたことによって,東京電力基準以上の賠償は一切得られないままに手続が終了してしまったものです。

 

東京電力は,政府から賠償金の資金援助を受けるにあたって政府に提出している累次の総合特別事業計画において,《センターの和解案の尊重》を繰り返し誓約していますが,実際には,国の設置した準司法機関たるセンターの和解案を無視し,被害者の意見も聞かずに自社が一方的に決めた賠償基準に固執して,それ以上は一切支払わないという傲岸不遜な態度を取っているものです。

 

このような東京電力の和解案拒否が続くのであれば,センターの紛争解決機能は画餅に帰すると言わざるを得ません。

 

当弁護団は,このような東京電力の態度に対し,強く抗議します。

 

本件についての問い合せ先:
原発被災者弁護団 事務局次長 弁護士 秋山直人(03-3580-3269)

 

本ニュースのPDFファイルはこちら(108KB)