【報告】都路訴訟(第14回口頭弁論期日について)

1 第14回口頭弁論期日について

平成30年8月22日(水)午後2時,福島地方裁判所郡山支部303法廷において,第14回都路町訴訟口頭弁論が開かれました。

 

2 主張書面の概要等について

(1)原告

原告は、原告第46準備書面から同第47準備書面を陳述し、法廷でその要旨を述べました。他に、文書送付嘱託申立書を提出しました。

準備書面の要旨は次のとおりです。

(原告第46準備書面)

国は,重要な全ての機器が設計基準津波の水位より高い場所に設置されることなどにより,津波での浸水を防ぐという意味でのドライサイトコンセプトを本件事故前に採用していたとしますが,その考え方は,本来のドライサイトコンセプトの考え方と異なるものです。本件事故前から国際的に共有されていた知見では,高度の安全性を確保するために防潮堤や水密化や高所配置などの種々の防護策を多重に講ずることが求められていたのであり,防潮堤のみによって防護柵を講ずる(「防潮堤唯一論」)などという国の主張はおよそあり得ないと主張しました。

(原告第47準備書面)

国は,国会事故調報告書の事実認定及び評価を縷々批判しますが,その批判は失当です。被告国は,国会事故調査報告書の内容を曲解し,また同報告書の信用性とは関係ない主張を述べるなどして非難しているに過ぎません。本件事故を巡る事項の報告書としては,国会事故調報告書,政府事故調報告書,東電事故調報告書,学会事故調報告書,民間事故調報告書の5つが出ていますが,この中でも国会事故調報告書の指摘はおおむね適切であり,最も信用性の高い基本的文献であると主張しました。

(2)被告国

これに対して,被告国は,第23,第24準備書面を提出しました。被告国提出の準備書面の内容は,次のとおりです。

(被告国・第23準備書面)

前回期日で提出した第21準備書面の補充です。津波の予見可能性が国にあったかどうかについて,津波評価技術と長期評価の見解があるが,国は,津波評価技術の公表後も更なる安全性向上のために確率論的津波ハザード解析の研究開発を行っていたことを主張し,結論として,本件津波が結局は予測不可能だったとしています。

(被告国・第24準備書面)

被告国が,損害論を総論的に主張してきたものです。結局は放射線量が年間1ミリシーベルトを超えても損害になるわけではないと主張しています。

(3)被告東電

被告東電からの提出書面はありませんでした。

 

3 原告意見陳述

書面の提出が終わり、次に、法廷では、原告の一人が,事故前に都路で年月をかけて実践していたこだわりの農業とそれを失ったことの悔しさ,裁判所に望むことなどについて意見を述べました。

 

4 進行協議期日について

口頭弁論後に行われた進行協議期日においては、原告において、平成31年3月の陳述書提出までには、基本的な主張を完了させる予定であること、提出予定の陳述書の形式面を共通にすること、被告国と被告東電側は文書送付嘱託に対して回答を準備すること,今後予定される人証の準備などが確認されました。

 

5 今後の期日について

平成30年11月 2日(金)14時~

平成30年12月21日(金)14時~

平成31年 3月 1日(金)14時~

*場所はいずれも福島地方裁判所郡山支部303号法廷です。

 

【本件についての問合せ先】

原発被災者弁護団都路町担当 弁護士 林 浩靖(03-6912-9271)

以上