【報告】福島市渡利集団ADR申立てで,勧告書が提示されました

【報告】福島市渡利集団ADR申立てで,勧告書が提示されました

原発被災者弁護団

 

2018年10月30日付けニュースでご報告しましたように,福島市渡利地区の集団ADR申立について,原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」)は,平成30年10月29日付けで東京電力が和解案の受け入れを拒否したため,11月15日付けで東京電力に対して,和解案を受諾するよう勧告する書面を提示しました。

 

その要旨は,次の通りです。

 

申立人らの間で福島市の他の地域の者と比較して強い不安や恐怖が醸成されるなかで、2地点が特定避難勧奨地点に設定されるほどの線量を有することが明らかになった以上、和解対象者が抱く放射線被ばくに対する不安や恐怖は合理的であり、それに伴う日常生活上の制限や制約が生じたと考えたことから本件和解案を提示した。被申立人が指摘する事情は、当パネルの認定を覆すに足りるものではない。

 

東京電力が和解案を受諾拒否の回答の理由として主張する内容は,その準備書面において主張していた論旨の再述にすぎず,当パネルは東京電力の準備書面での主張も踏まえて和解案を提示したことを改めて指摘しておく。

 

東京電力は,行動の容易性をとりあげて和解の距離的範囲につき反論してい るが、行動の容易性は考慮要素の一つにすぎず、それのみで結論を導いたわけではない。また、東京電力は、避難者も和解対象者に含めることに異を唱えているが、放射線被ばくに対する不安や恐怖に襲われてやむを得ず避難した者を除外するいわれはないから避難者も本件和解案の対象者としたものであり、東京電力の批判は当たらない。

 

以上のとおりであるから、当パネルは、東京電力に対し自己の主張に固執することなく、本件和解案を受諾するよう強く勧告する。