【報告】 都路町訴訟第12回口頭弁論期日等について

1 第12回口頭弁論期日について

平成30年4月27日(金)午後2時,福島地方裁判所郡山支部303法廷において,第12回都路町訴訟口頭弁論が開かれました。

 

2 主張書面の概要等について

(1)原告

原告は,原告第37準備書面から同第39準備書面を陳述し,法廷でその要旨を述べました。

準備書面の内容は,次のとおりです。

(原告第37準備書面 林弁護士により要旨陳述)

津波対策における被告らの過失が,「重過失」であることを主張しております。被告らは敷地高さを超える津波を十分に予見できる状態にありながら,敷地高さを超える津波に対する対策を先送りにするために,あえて,長期評価や貞観津波に関する知見を無視したことをということを述べています。

(原告第38準備書面 尾渡弁護士より要旨陳述)

被告第9準備書面に対する反論です。特に,被告国が,確立されておらず予見可能性の根拠とならない知見に対しても,適切な対応をしてきたと主張していることに対し,被告肉の対応は強制力のない行政指導であり,明白な方法選択の誤りがあるなど不十分なものであったことを述べております。

(原告第39準備書面 水島弁護士より要旨陳述)

SA(シビアアクシデント)についての東電の主張に対する反論の書面です。①SAとは,最終的な放射性物質の放出のみでなく,そのプロセスとしてのSBO(全交流電源喪失),冷却機能喪失,炉心損傷も該当すること,②津波などの外的事象に起因するSA対策が可能であったこと,③被告東電の対策はSA対策として不十分であったこと,④東電の対策に関する保安院等の評価は無意味であることを説明しています。

(2)被告国

被告国からは,第19及び第20準備書面が提出されました。

準備書面の内容は以下のとおりです。

(被告国・第19準備書面)

原告が結果回避措置の主張の中で引用している専門家(筒井氏・後藤氏)の意見書についての質問事項への回答を求める書面です。

(被告国・第20準備書面)

①津波の予見可能性について,貞観津波を根拠とする原告の主張に対し,国から2008年の時点では,貞観津波に関する知見は確定的でなく,津波対策に利用できるものではなかったとの反論がなされています。

②原告は,国が東電に対し規制権限を行使しなかったため国が責任を負うと主張しているのに対し,国はそもそも規制権限行使の前提となる津波の予見自体ができなかったと主張しているので,規制権限を行使すれば,国は違法な行為を行うことになると反論しています。

 

(3)被告東電

被告東電は,準備書面(15)及び(16)を提出しました。

準備書面の内容は以下のとおりです。

(被告東電・準備書面(15))

原告が,津波が敷地高まで到来して全電源が喪失したとしても,適切な方法をとることにより電源を回復でき,結果を回避することができたと主張しているのに対し,原告が主張する方法は現実的にはとりえないと反論しています。

(被告東電・準備書面(16))

東電に過失があったという原告の主張に対する反論をまとめた書面です。①裁判所は2011年時点で要求される水準で判断すべきであること,②原告が津波の予見可能性の根拠としてあげている長期評価は複数の専門家から疑義が呈されており,津波の予見の根拠にはできないと反論しています。

 

3 原告の意見陳述について

原告の1人が,法廷で事故前の生活,事故による避難や被った苦しみ,事故によって失われたものへの思いについて意見を述べました。

 

4 進行協議期日について

口頭弁論後に行われた進行協議期日では,

  1. 責任論について,原告が国第19準備書面への反論を行うこと。被告国は6月の期日を除いて2回で反論を行う。被告東電は回数不詳で順次反論する。
  2. 被告は損害総論について並行して反論を行う。
  3. 次回,当事者双方から主張についてのプレゼンを行う。進行としては,原告の意見陳述・原告プレゼン(合わせて50分)→被告国プレゼン(40分)→被告東電プレゼン(40分)の順番で行う。
  4. 各世帯の陳述書については,サンプルを提出した上で当事者及び裁判所で検討し,ある程度書式を統一する。

 

5 今後の期日について

    1. 平成30年6月22日(金)14時~
    2. 同年8月21日(水)14時~
    3. 同年11月2日(金)14時~
    4. 同年12月21日(金)14時~
    5. 平成31年3月1日(金)14時~

*場所はいずれも福島地方裁判所郡山支部303号法廷です。

 

【本件についての問合せ先】

原発被災者弁護団都路町担当 弁護士 林 浩靖(03-6912-9271)