【報告】都路町訴訟第11回口頭弁論期日等について

【報告】 都路町訴訟第11回口頭弁論期日等について

 

1 第11回口頭弁論期日について

平成30年2月9日(金)午後2時,福島地方裁判所郡山支部303法廷において,第11回都路町訴訟口頭弁論が開かれました。

 

2 主張書面の概要等について

(1)原告

原告は,原告第33準備書面から同第36準備書面を陳述し,法廷でその要旨を述べました。

準備書面の内容は,次のとおりです。

(原告第33準備書面 小海弁護士により要旨陳述)

被告東電及び被告国が津波の高さを13.1mと主張したことに対し,現地の資料,特に検潮所近くの津波の痕跡からすれば13.1mという高さは疑わしいとの反論をしました。

(原告第34準備書面 飯島弁護士より要旨陳述)

被告国の規制権限の根拠法令について電気事業法39条,40条,省令62号の4条,8条の2,33条の4項,並びに炉規法35条~37条があることを主張しました。また,被告国が規制のあり方を原子炉の設置段階と運転段階に分ける段階的規制論の考え方を主張していることから,この考え方を批判しました。

(原告第35準備書面 林弁護士より要旨陳述)

被告国や被告東電が,新潟県中越沖地震の影響から津波対策より地震対策を優先したとの主張をしたので,地震でも原子炉の配管が壊れて被水事故が生じること,地震対策,津波対策とで共通する被水対策があることを主張しました。

(原告第36準備書面 要旨陳述は行いませんでした)

本訴訟において日本国籍でない人が原告の中にいましたので,相互保証(日本国籍でない人が日本で国家賠償を求める場合,その人の国で日本国籍の人が国家賠償を受けることができるとき,日本でも当然に国家賠償を受けることができるという考え方)により日本国籍出ない人も国家賠償を受けることができることを述べた書面です。

 

(2)被告国

被告国からは,第16準備書面から第18準備書面が提出されました。

準備書面の内容は以下のとおりです。

(被告国・第16準備書面)

相互保証についての書面です。

(被告国・第17準備書面)

被告国は,被告東電に対して監督責任しか負わないので,被告国の責任は,二次的補完的責任にとどまること,すなわち,第一次的な責任は被告東京電力にあるのであって,被告国は被告東電と同じような責任を負わないとの主張です。

(被告国・第18準備書面)

主に津波に関するもので,専門家証人の尋問結果に対する反論です。津波の予見についてはほぼ主張しつくされていますので,補充的な反論となります。

 

(3)被告東電

被告東電は,準備書面(13)及び(14)を提出しました。準備書面の内容は以下のとおりです。

(被告東電・準備書面(13))

主に原告第24準備書面の「津波を回避することができた」との原告の主張に対する反論です。すなわち,被告東電は①ICの弁も一部電気で動かなくなり,手動でも動かせなかった。②低圧注水も,水の準備や人員の準備ができなったという反論をしています。

(被告東電・準備書面(14))

原告第30準備書面に対する反論です。IAEAの報告書について原告のような読み方をすべきでないとの内容になっています。

 

3 原告の意見陳述について

原告の1人が,法廷で事故前の生活,避難の様子,事故後の家族の様子,事故により失われたものへの思いついて意見を述べました。

 

4 進行協議期日について

口頭弁論後に行われた進行協議期日では

  1. 責任論について,原告と被告東電に引き続き反論予定があること,被告国は2期日の予定であることを確認しました。
  2. 専門家証人について,原告は7人程度,被告国および被告東電は必要に応じて複数人の証人申請を検討中であることを確認しました。
  3. 原告が申し立てた文書送付嘱託(刑事記録)について,被告国は同意する旨の意見を述べました。
  4. 原告本人尋問について,原告は全世帯の尋問を希望する旨を述べました。

 

5 今後の期日について

    1. 平成30年4月27日(金)14時~
    2. 同年6月22日(金)14時~

*場所はいずれも福島地方裁判所郡山支部303号法廷です。

 

【本件についての問合せ先】

原発被災者弁護団都路町担当 弁護士 林 浩靖(03-6912-9271)