【報告】都路町訴訟第10回口頭弁論期日等について

【報告】都路町訴訟第10回口頭弁論期日等について

平成29年12月21日

原発被災者弁護団

 

1 第10回口頭弁論期日について

平成29年11月24日(金)午後2時,福島地方裁判所郡山支部303法廷において,第10回都路町訴訟口頭弁論が開かれました。

 

 

2 主張書面の概要等について

⑴ 原告

原告は,第3次訴訟に係る訴状を陳述し,これまでの訴訟での主張を援用しました。

また,原告第30準備書面から同第32準備書面を陳述し,法廷でその要旨を述べました。準備書面の内容は,次のとおりです。

(原告第30準備書面 佐々木弁護士により要旨陳述)

IAEAが作成した技術文書と訳されている報告書があり,その報告書において,東電及び国の規制の内容が国際基準に満たないものであったという指摘があること,また,東電及び国は,津波を予見しておくべきだったということを補充して主張しました。

(原告第31準備書面 石丸弁護士により要旨陳述。)

津波に対する結果回避措置を検討した報告書である失敗学会の最終報告書を作成した吉岡氏の証人尋問で国や東電からおかしいと指摘された7項目について,1つ1つ反論をし,吉岡氏が述べたことをしていれば,本件事故は防げたという主張をしました。

(原告第32準備書面 林弁護士により要旨陳述。)

国や東電は,当方が,事故後にこうしておけばよかったと主張していることについて,事故前には想定できなかったと反論しているが,そのような反論がおかしいこと,すなわち,技術者ならわからなければならない,気が付くようにすべきであったと,1つ1つ再反論しています。また,岡本氏の意見書も原資料にあたっていなくて,信用できないと主張しました。

 

⑵ 被告国

被告国からは,答弁書(第3次訴訟分),第14,15準備書面が陳述されました。   準備書面の内容は以下のとおりです。

(被告国・第14準備書面)

国は規制する立場で,規制しなかったことが違法になる場合について述べ,その上で,津波対策について国が前提として考慮すべき範囲を述べて,その範囲のことはきちんとしており,責任はない旨の主張が記載されています。

(被告国・第15準備書面)

福島原発を襲った津波の高さについて,東電は13.1mとしていますが,せいぜい10mくらいであったとする原告の主張に対し,東電の推計に対する原告の批判は当たらない旨の反論が記載されています。

 

⑶ 被告東電

被告東電からは,答弁書(第3次訴訟分),準備書面(12)が陳述されました。準備書面の内容は以下のとおりです。

(被告東電・準備書面(12))

事故前には,今回のような大きな津波が来るとはわからなかったので,原告の主張する結果回避の方法は,事故後にわかったものであること,仮に原告が主張する対策を講じていたとしても,事故は回避できなかった旨の主張が記載されています。

 

 

4 原告の意見陳述について

原告の1人が,法廷で,事故前の生活,避難の様子,事故後の家族の様子や,都路復興への思いについて意見を述べました。

 

 

5 進行協議期日について

口頭弁論後に開かれた進行協議期日では

⑴ 今後,今まで原告・被告双方で出された主張に対し,双方が,さらに2,3期日を使って反論する予定であること

 

⑵ 原告が申し立てた文書送付嘱託について,年内に被告国が意見書を提出し,その意見書を踏まえて裁判所が採否の決定を行うこと

 

⑶ 書証の分類方法として,D:相互保障,E:都路関係のもの,F:損害各論に変更すること

が協議,確認されました。

 

 

6 今後の日程について

①平成30年2月9日(金)14時~

②同年4月27日(金)14時~

③同年6月22日(金)14時~

 

*場所はいずれも福島地方裁判所郡山支部303号法廷です。

 

 

 

【本件についての問合せ先】

原発被災者弁護団都路町担当 弁護士 林 浩靖(03-6912-9271)