【報告】飯舘村長泥・蕨平田畑集団申立てで,東電がセンターの和解案受諾勧告に対する拒否

【報告】飯舘村長泥・蕨平田畑集団申立てで,東京電力がセンターの和解案受諾勧告に対する拒否回答

 

2017.11.8付けニュースでお伝えしましたように,飯舘村長泥・蕨平の住民72世帯77名が申し立てた,田畑の財物損害の東京電力基準以上の賠償を求める集団申立てで,原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」)が,平成29年2月14日に提示した,東電基準を上回る和解案(和解金額は,提示後一部修正があり,和解案が提示された71世帯76名合計で約1億7080万円,以下「本和解案」)について,東京電力が,東電基準以上は支払わないとして,和解案の受諾を拒否している問題で,センターは,平成29年11月6日に進行協議期日を開催し,本和解案の提示理由を詳細に補足説明した上で,東京電力に対し,本和解案の受諾を勧告していました。

 

しかし,東京電力は,平成29年12月5日付け回答書を提出し,仲介委員の和解案提示理由の補足説明に対して逐一反論した上で,東京電力基準以上の支払には応じられないとして,再度,センターの和解案を拒否しました。

 

センターによる,和解案提示理由の補足説明の中では,申立人らの被害実態を踏まえ,個別の財物の交換価値の賠償にこだわることなく,申立人らが事業再開の見通しがつくような十分な賠償をすべきであるとの考え方が示されていましたが,東京電力は,これに対し,判例通説からすれば,財物の交換価値の賠償をすれば十分であり,事業再開の必要性を考慮して賠償額を積み増しするというセンターの見解は,独自の見解というほかない,などと反論しました。

 

東京電力は,表向きは,政府から資金援助を受けるにあたって政府に提出した累次の新・総合特別事業計画において,《センターの和解案の尊重》を誓約していますが,上記のようなADRでの態度は,完全に二枚舌であると言わざるを得ません。

 

東京電力は,実際には,センターの和解案を尊重しない態度を取っており,自社の主張・自社の賠償基準に固執しているものです。

 

当弁護団は,このような東京電力の態度に対し,強く抗議します。

 

本件についての問い合せ先:
原発被災者弁護団 事務局次長 弁護士 秋山直人(03-3580-3269)

 

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