【報告】都路町訴訟第8回口頭弁論期日について

【報告】都路町訴訟第8回口頭弁論期日について
平成29年7月26日
原発被災者弁護団

1 第8回口頭弁論期日について
平成29年6月23日(金)午後2時,福島地方裁判所郡山支部303号法廷において,第8回都路町訴訟口頭弁論期日が開かれました。

 

2 提出書面の概要について
【原告提出書面の概要】
(原告第17準備書面)
被告東京電力は,原発事故前の2002年から毎年何らかの不正が発覚している状態であり,国はそれがわかっていながら行政指導という形の実効性がない対応しかしてこなかったことなど。
(原告第18準備書面)
被告東電は子会社に明治三陸沖地震を想定した試算をさせており,福島第一原発に津波が到来する可能性などを認識していたという主張(被告東電準備書面(5)に対する反論)。
被告東電が適切な津波シミュレーションを行っていなかったという主張(被告東電準備書面(9)に対する反論)。
(原告第19準備書面)
専門家の意見を引用しながら,適切な津波対策を行っていれば今回の事故は回避できたことを主張。

【被告国提出書面の概要】
(被告国第11準備書面)
被告国が従前提出した準備書面の誤記訂正。
(被告国第12準備書面)
原発事故の原因について,原告側の主張する事実のどこを被告国が争うのか明らかにするよう求めた平成29年2月24日付求釈明書に対する回答。
(被告国第13準備書面)
(被告国の主張である)平成23年事故時の法制度において,敷地高を超える津波を想定した対応を取るよう被告東電に対して命令する規制権限が被告国になかったとする理由について,平成29年2月24日付原告求釈明書に対する被告国の回答。

【被告東電提出書面の概要】
(被告東電・準備書面(7))
原発が水をかぶったとしても適切な対策をとっておけば本件事故は回避できたとの原告の主張(原告第6準備書面)に対して,今回の事故が起きるまでは,そのようなことは誰も想定できなかったなどとの反論。
(被告東電・準備書面(8))
原子力損害につき無過失責任を定めた原賠法の規定があることを理由に,被告東電については過失の審理は不要である旨の主張。
(被告東電・準備書面(9))
被告東電は,適切な津波シミュレーションを行っていたとの,原告第14準備書面に対する反論です。

 

3 意見陳述等について
原告1名による意見陳述と原告代理人(原告第17準備書面:林浩靖弁護士,原告第18準備書面:小海範亮弁護士,原告第19準備書面:水島直也弁護士)による準備書面要旨の陳述が行われました。

 

4 進行について
現在,原告と被告らの双方により,責任論に関する主張・反論が行われています。今回の提出書面においては,責任論に関する争点のうち,国の規制権限不行使,津波の予見可能性,原発事故の結果回避可能性に関する書面が提出されています。
今後も,しばらく,責任論に関する主張立証が続く予定ですが,損害論に関する主張立証も近いうちに始まるものと思われます。

 

5 今後の日程について
平成29年9月1日(金)14時~ 福島地方裁判所郡山支部303号法廷
平成29年11月24日(金)同上
平成30年2月9日(金)同上

 

【本件についての問合せ先】
原発被災者弁護団都路町担当 弁護士 林 浩靖(03-6912-9271)