【報告】飯舘村比曽集団ADR/東京電力が一部世帯について和解案の一部受諾回答

【報告】飯舘村比曽集団ADR/東京電力が一部世帯について和解案の一部受諾回答

 

2017.2.20

 

1 飯舘村比曽地区集団申立て(57世帯217名/H26.11申立て)で,平成28年10月31日に原子力損害賠償紛争解決センター(以下,「センター」)より,被ばく不安による慰謝料の増額についての「和解案提示理由書」,その他の損害項目について和解基準を示した「和解方針に関する連絡書」が提示されるとともに,第1陣として29世帯の和解案が提示されました。その後,現在までの間に,合計45世帯について和解案が提示されています(和解案提示額は合計約13億5000万円)。

2 これまでお伝えしてきましたように,東京電力は,センターの和解案に対し,異論を述べ,再考を求めたり,世帯ごとに「上申書」を提出し,センターの和解案を批判したり,理由・根拠の詳細な説明を求めるなどして,和解案に抵抗を続けてきました。

3 しかし,センターは,誤記,計算間違い,既払い金控除等以外については,和解案を変更することなく,繰り返し東京電力に対し,諾否の明確な回答を求めていました。

4 ようやく,平成29年1月19日に至り,東京電力は,1世帯について,被ばく不安による慰謝料の増額及びそれについての弁護士費用を除いて,センターの和解案を一部受諾する旨の回答書を初めて提出しました。

5 その後,本日までに,合計10世帯について,東京電力は,被ばく不安による慰謝料の増額及びそれについての弁護士費用を除いて,センターの和解案を一部受諾する旨の回答書を提出しています(東京電力が受諾した金額は10世帯で合計約2億6900万円)。従前,東京電力が特にこだわっていた,建築年が「不詳」の建物の取扱いについても,東京電力は,一部世帯で,センターの和解案を受諾しています。

6 東京電力が,長泥集団申立てでは受諾した,被ばく不安による慰謝料の増額について,和解案拒否の姿勢を続けていることは,「センターから提示された和解案を尊重する」との新・総合特別事業計画中での誓約に反するものであり,極めて不当です。

7 一方,被ばく不安による慰謝料の増額及びそれについての弁護士費用を除いて,東京電力がセンターの和解案を受諾する旨の回答をしたことで,一部和解の成立の見通しが付きつつあることは申立人にとって喜ばしいことです。ただし,既に申立てから2年3か月,和解案提示から3か月を経過しており,あまりにも時間がかかっております。東京電力には,残りの世帯についても,速やかにセンターの和解案を受諾することを求めます。

 

本件についての問い合せ先:

原発被災者弁護団 事務局次長 弁護士 秋山直人(03-3580-3269)

 

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