【報告】飯舘村比曽集団ADR/2度目の回答期限での東京電力の対応

【報告】飯舘村比曽集団ADR/2度目の回答期限での東京電力の対応

 

2016.12.21

 

1 飯舘村比曽地区集団申立て(57世帯217名/H26.11申立て)で,平成28年10月31日に原子力損害賠償紛争解決センター(以下,「センター」)より,被ばく不安による慰謝料の増額についての「和解案提示理由書」,その他の損害項目について和解基準を示した「和解方針に関する連絡書」が提示されるとともに,第1陣として29世帯の和解案が提示されました(その後も順次和解案が提示されています)。

 

2 平成28年12月21日,和解案に抵抗する東京電力に対して,センターが設定した2度目の回答期限を迎えました。同日,東京電力側は,「回答書」を提出し,被ばく不安による慰謝料の増額については「受諾困難」として,1度目と同じ趣旨の主張を繰り返しました。

それ以外の損害項目については,「和解案尊重の観点より受諾を検討させていただきます」としながら,個別世帯の和解案について,誤記,計算間違い,既払い金控除等に関する修正が必要なものは修正を求めるとしました。

また,建築年が「不詳」とされている建物について,センターの和解案は,昭和36年以前用の建築物係数を用いて賠償金額の算定を行っているが,仮に昭和37年以降に建てられたものであったときには,不当に高額な賠償が行われることになるので,改めて申立人側に,建築年に関する客観的な資料の提出等を求める,などと述べました。

 

3 東京電力は,国からの支援を受けるために政府に提出した新・総合特別事業計画中で,センターの和解案を尊重すると誓約していながら,被ばく不安による慰謝料の増額について,繰り返しセンターの和解案に異論を述べ,「受諾困難」としており,センターの和解案を尊重しているとは全く言えません。

 

4 それ以外の損害項目については,受諾を検討する旨回答し,一歩前進しましたが,和解案提示から既に約2か月を経過しており,速やかに和解案を受諾すべきです。

名寄帳で建築年が「不詳」とされている建物については,昭和36年以前に建築されたと推定されるものというべきであり,それより新しく建てられたと東京電力が主張するのであれば,約2年の審理期間中に,東京電力側が客観的資料をもって立証すべきものです。和解案が提示された後に前記のような主張をすることは,和解仲介手続の進行に非協力的で,和解案を尊重しない態度というべきものです。

 

当弁護団は,東京電力の以上のような不誠実な対応に強く抗議します。

 

 

本件についての問い合せ先:

原発被災者弁護団 事務局次長 弁護士 秋山直人(03-3580-3269)

 

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