【報告】飯舘村蕨平集団申立て・追加包括請求に関するセンター和解案の一部を東京電力が拒否

【報告】飯舘村蕨平集団申立てで,追加包括請求に関するセンター和解案の一部を東京電力が拒否  

2015.12.28

   本年12月1日付けニュースで,飯舘村蕨平集団申立て(全部和解した世帯を除き,29世帯105名)において,原子力損害賠償紛争解決センターが,H28.4月からH30.3月までの2年分の追加包括請求について,世帯ごとに和解案を提示したことをお知らせしました。

    和解案の内容は,以下のとおりです。

    ① H28.4~H30.3の日常生活阻害慰謝料 1人10万円×24か月=240万円  

    ② その他実費(避難・帰宅等にかかる費用相当額) 1人37万円 *1世帯6人目以降は1人25万円

    ③ ①②に対する弁護士費用 3%

    ④ H28.4~H29.3の日常生活阻害慰謝料1人120万円に対する遅延損害金  1人120万円×年5%×H26.12.26~H27.9.8(257日)÷365日 =1人4万2246円

   東京電力は,平成27年12月14日付けの上申書で,センターに対し,上記和解案のうち,①~③は受諾するが,④の遅延損害金については受諾することができないので再考を求める旨を上申しました。

   これに対し,センターは,和解案は変更しないと通知し,正式な回答を求めた模様ですが,東京電力は,平成27年12月25日付け回答書で,改めて,上記和解案のうち,①~③は受諾するが,④の遅延損害金については受諾できないとの一部拒否回答を行いました。    東京電力は,上記④の遅延損害金について受諾できないとする理由として, ア)センターの総括基準において,遅延損害金を付すことができるとされている「東京電力が審理を不当に遅延させる態度をとった場合」には該当しない イ)東京電力が追加包括請求にかかる慰謝料等を払うことにしたのは,平成27年6月の閣議決定(復興加速化指針改訂)に基づく政府方針を受けて,平成30年3月までの慰謝料等を支払うことに賠償方針を変更したからであり,センターの和解案の考え方を今になって受け入れたものではない と説明しています。   しかし,東京電力は,平成28年4月~平成29年3月の慰謝料について,一括払いに応じるべきことをセンターからの平成26年3月20日付け和解案提示理由書以来,何度も求められていたにもかかわらず,和解案の当該部分を拒否し,平成27年6月の閣議決定によって,平成30年3月までの慰謝料を一括で支払うべきことを政府から指導されて始めて前記期間の慰謝料の支払に応じる方針に転換したものです。

  センターの和解案がその結論において正当であったことを,東京電力もようやく認めざるを得なくなったものであり,東京電力が和解案の受諾を不当に拒否している間,申立人に対して遅延損害金相当の損害が発生したことは争いようがありません。 また,センターの総括基準は,センターの和解案において遅延損害金を付すことができる場合を限定した趣旨のものではなく,同総括基準の定める事由に該当しないことを理由に遅延損害金を付すことができないという主張はそもそも失当です。 本件において,東京電力が,センターの和解案を拒否し続け,平成28年4月~平成29年3月の慰謝料の賠償を不当に遅延させたことは間違いなく,このことは,和解案において遅延損害金を付加する十分な理由です。

  当弁護団は,東京電力に対し,速やかに,センターの和解案を全面的に受諾するように求めます。

   本件についての問い合せ先: 事務局次長 弁護士 秋山直人(03-3580-3269)

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