飯舘村蕨平集団申立てでセンターが追加包括請求について遅延損害金を付加した和解案を提示

2015.12.1

   本年9月18日付けニュースで,飯舘村蕨平集団申立て(全部和解した世帯を除き,29世帯105名)で,東京電力が,ADRの和解仲介手続において,それまでセンターの和解案として提示され,拒否していたH28.4月からH29.3月の慰謝料を含む,H30.3月までの慰謝料(1人月10万円×24か月=240万円)の一括賠償に応じることを表明したことをお知らせしていました。

   その後,申立人側は,慰謝料のみならず,東京電力が直接請求において賠償を始めた,H28.4月~H30.3月の追加包括請求において支払っている,「その他実費(避難・帰宅等にかかる費用相当額)」や弁護士費用も賠償するよう求めていました。

   平成27年11月30日,原子力損害賠償紛争解決センターは,このH28.4月からH30.3月までの2年分の追加包括請求について,世帯ごとに和解案を提示し,同年12月14日までに和解案を受諾するかどうかの回答をするように双方に求めました。

    和解案の内容は,以下のようになっています。

 ① H28.4H30.3の日常生活阻害慰謝料 1人10万円×24か月=240万円

 ② その他実費(避難・帰宅等にかかる費用相当額) 1人37万円

                *1世帯6人目以降は1人25万円

 ③ ①②に対する弁護士費用 3%

 ④ H28.4H29.3の日常生活阻害慰謝料1人120万円に対する遅延損害金

   1人120万円×年5%×H26.12.26H27.9.8(257日)÷365日 =1人4万2246円

  上記の和解案のうち,①~③については申立人側の求めていたとおりです。

    ④については,センターが,H28.4H29.3の慰謝料(1人120万円)の一括払いを従前から和解案として提示し,何度も東京電力に受諾を求めていたにもかかわらず,東京電力がこれを拒否し続けていたことから,センターが和解案提示理由補充書を示した上で回答期限としたH26.12.25の翌日から,東京電力代理人が2年分の慰謝料を追加で支払うと上申書を出してきたH27.9.8までの間について,120万円に対する年5%の遅延損害金を計算したものです。

  センターが遅延損害金を含めて東京電力に支払を求めるのは異例ですが,センターも,東京電力が和解案の拒否を続けたことに対し,一定の制裁を課す必要があると判断したものと思われます。東京電力が,センターの和解案どおりH28.4H29.3の慰謝料を払うと表明した以上,当該和解案の受諾を拒否していた間の遅延損害金を申立人に払うように求める趣旨と思われます。

    当弁護団は,かかるセンターの対応を支持するとともに,東京電力に対し,速やかに,センターの和解案を受諾するように求めます。

    また,東京電力が依然として拒否している,被ばく不安慰謝料についても,センターの和解案を受諾するように求めます。

   本件についての問い合せ先: 事務局次長 弁護士 秋山直人(03-3580-3269)

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