【報告】飯舘村蕨平集団申立てで東京電力が慰謝料の一括払いを応諾

【報告】飯舘村蕨平集団申立てで東京電力が慰謝料の一括払いを応諾

 2015.9.18

   飯舘村蕨平集団申立て(全部和解した世帯を除き,29世帯105名)で,東京電力が原子力損害賠償紛争解決センターの和解案の一部(被ばく不安慰謝料,慰謝料一括払いの1年延長等)を拒否している問題で,東京電力は,平成27年9月8日付けで「和解案に関する上申書」をセンターに提出しました。

   この上申書で東京電力は,政府(原子力災害対策本部)の福島復興加速化指針が平成27年6月12日付けで改訂され,避難指示解除準備区域・居住制限区域における住民の精神的損害については,解除の時期にかかわらず,平成29年3月に解除する場合と同等の支払を行うよう,国が東京電力に指導するとされたこと,これを受け,東京電力が,平成27年8月26日付けでプレスリリース「避難指示解除準備区域・居住制限区域における精神的損害等に係る具体的なお取り扱いについて」を公表し,原発事故から7年後(平成30年3月まで)の精神的損害の賠償について,包括請求方式で応じることとしたことを引用しています。

   その上で,東京電力は,センターの和解案が,平成28年4月から平成29年3月までの精神的損害(1人月10万円×12か月=120万円)の一括賠償を提示していたのをこれまで拒否していたところ,この拒否を撤回し,ADRの和解仲介手続において,平成28年4月から平成30年3月までの精神的損害(1人月10万円×24か月=240万円)の一括賠償に応じることを表明しました。

   東京電力が,これまで拒否していたセンターの和解案のうち一部について拒否を撤回し,受諾する旨を表明したことは一歩前進です。

   しかし,東京電力は,「新・総合特別事業計画」でセンターの和解案を尊重すると誓約していながら,平成26年3月の和解案提示から1年半もの間,不合理な理由を述べて拒否を続け,結局,国の指導に従う形で,センターの和解案の合理性を認めざるを得なくなったという経緯であり,東京電力のこれまでの対応には疑問が残ります。

  また,重要な問題として,センターの和解案のうち,被ばく不安慰謝料等については,東京電力はなおも拒否を続けており,未だ解決を見ていません。

   当弁護団は,東京電力に対して,センターの和解案に対する拒否を全て撤回し,全面的に受諾するよう,改めて求めます。

   本件についての問い合せ先: 事務局次長 弁護士 秋山直人(03-3580-3269)

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