【報告】福島市渡利地区集団ADR申立のご報告

2015年7月21日

 

福島市渡利地区集団ADR申立のご報告

 

   原発被災者弁護団

  本日,当弁護団は,福島市渡利地区居住の住民を申立人として,原子力損害賠償紛争解決センターに集団ADRの申立をしました。  

<申立人数・世帯> ・申立人 3107名(1107世帯)  

 

<申立の趣旨> 申立人1人あたり2011年3月11日から同年8月まで毎月20万円 同年9月から和解成立時まで毎月10万円 (当月までとすると,1人あたり590万円、総額183億円)  

 

<申立の主な理由> 渡利地区は,本件事故により放出された放射性物質により高濃度に汚染され,特に本件事故直後の平成23年3月15日には,渡利地区に近接する県北保健福祉事務所にて,24.24μSv/h(125.3mSv/yに相当)もの線量が計測されました。本件事故から4年が経過した時点でも、なお国の除染目標値である年間1mSvを超えている箇所が大半であり、除染基準の2倍以上や3倍以上、なかには5倍以上の空間線量を示す箇所も多く存在しています。

 また,渡利地区では,除染作業により出た放射性廃棄物の仮置場が確保できていないため,申立人らは,放射性廃棄物を自宅敷地内等にて保管することを余儀なくされ,被ばくの不安に日々晒され続けています。

 さらに,放射線量が高いことにより,申立人らは,日常生活において,窓が開けられない,洗濯物を外で干せない,家庭菜園ができない,子どもを外で遊ばせられない等,様々な支障・負担を強いられ続けてきました。

 このように,申立人らは,本件事故から現在に至るまで,4年以上の長きにわたり,日々被ばくに対する不安に苛まれ,日常生活を阻害され続けてきました。

 しかし,渡利地区が「避難指示等対象区域」に指定されず,「自主的避難等対象区域」であるがために,申立人らの精神的損害は「事故発生当初の時期」(妊婦・子どもは平成23年12月末まで)しか存在しないものとして扱われ,極めて不十分な賠償しか得られていません。 そこで、申立人らは、ADR手続において,東京電力に対して、迅速かつ適正な賠償を求めることにしました。

以上

 

記者会見資料(PDF 311KB)