【報告】住居確保損害の合意書について東京電力に申し入れ

【報告】住居確保損害の合意書について東京電力に申し入れ

  2015.3.23

   当弁護団は,平成27年3月23日付けで,東京電力に対し,住居確保損害の合意書について申入書を提出しました。

   東京電力は,住居確保損害の直接請求において,被害者に提出を求める「合意書」に,次の条項(以下「本件条項」といいます。)を入れています。

  〔本件条項〕 「・・・別紙『算定額の内訳』に記載の『賠償金額(累計)』が『賠償上限金額』に達した以降は,増減税や著しい地価の変動その他の事由により賠償上限金額の取扱いに変更があった場合であっても,東京電力に対して,追加の賠償の請求をすることはできないことについて合意します。」

  本件条項は,いわゆる清算条項の一種と解されます。

  東京電力は,当初の合意書について各方面から強く批判され,その後,いわゆる清算条項を合意書に入れることはない旨を表明してきたものですが,本件条項はこれまでの姿勢を覆すものです。

  東京電力と経産省資源エネルギー庁が主催した住居確保損害の賠償に関する住民説明会では,今後,消費税が8%から10%に増税される際,「増税分は諸費用の算定において反映する」旨の回答がなされていますし,中間指針第四次追補における住居確保損害の基準は,今後の地価上昇の動向等によっては被害者に有利に変更される可能性があるものです。

  しかし,本件条項があることによって,今後,消費税の増税や地価上昇等を理由に賠償上限金額が増額になったとしても,既に本件条項入りの合意書をもって合意し,賠償上限金額に達する賠償を受けた被害者については,増額になった賠償上限金額の適用を東京電力から拒否されることが見込まれます。

  このように,本件条項はいわゆる清算条項の一種として,問題があると思われることから,当弁護団は,東京電力に対し,住居確保損害の合意書から本件条項を削除する修正をすること等を申し入れ,申入書到達後2週間以内の書面での回答を求めました。

 

   本件についての問い合せ先: 原発被災者弁護団 事務局次長 弁護士 秋山直人(03-3580-3269)

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