【報告】飯舘村蕨平集団申立てで東京電力が4度目の拒否回答

【報告】飯舘村蕨平集団申立てで東京電力が4度目の拒否回答

  2015.3.9

   本年2月16日付けニュースでご報告しましたように,飯舘村蕨平集団申立て(全部和解した世帯を除き,29世帯105名)で,東京電力が原子力損害賠償紛争解決センターの和解案の一部(被ばく不安慰謝料,慰謝料一括払いの1年延長等)を拒否している問題で,センターは,東京電力に対し,3度目の拒否回答が「和解案提示理由補充書」の指摘に応えていない不誠実なものであるから,補充書の内容を再度良く検討し,平成27年3月9日までに再度回答するように求めていました。

   これに対し,東京電力は,3月9日付けで「回答書」を提出しました。

   東京電力は,センターが和解案の中で提示している,①慰謝料一括払いの1年延長については,避難指示解除見込み時期とリンクして賠償するという政府賠償方針の考え方と整合しない,蕨平地区において平成29年3月までに住民が帰還して従前の生活に復することが困難であると現時点では断定できない,と述べました。

   また,②被ばく不安慰謝料(妊婦又は子どもについて1人100万円,それ以外の者について1人50万円)については,申立人らの被ばくは年間20ミリシーベルトを下回るものと考えられるとし,申立人らに法的な権利侵害が生じていたとみることは相当ではない,と述べました。

   しかし,①については,むしろ,あとわずか2年で飯舘村蕨平地区の住民が帰還して従前の生活(農業や牛の肥育業を含む)を営むことができると考えること自体,本件原発事故による被害を軽視し,現実を見ていないものと言わざるを得ません。

   ②については,センターは,被ばく自体ではなく,被ばくの不安に対する慰謝料を認めているにもかかわらず,東京電力はそこを無視して,あえて《科学的》な議論にすり替えようとしています。一方で,飯舘村長泥地区の集団申立てでは,同水準の被ばく不安慰謝料の支払に応じているのに,蕨平地区の集団申立てでは応じない理由については,「区域が違うから」という以外に何ら理由は示されていません。

   いずれも,不合理な和解案の拒否であり,東京電力が自ら新・総合特別事業計画で誓約している「センターの和解案の尊重」を反故にし,センターの紛争解決機能をないがしろにするものです。当弁護団は,改めて,東京電力に抗議するものです。

 

   本件についての問い合せ先: 弁護士 秋山直人(03-3580-3269)

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