【報告】南相馬市特定避難勧奨地点財物賠償等の和解仲介申立て(集団)について

2014年(平成26年)7月4日

 

南相馬市特定避難勧奨地点財物賠償等の和解仲介申立て(集団)について

 

東日本大震災による原発事故被災者支援弁護団

 

平成26年6月27日,福島県南相馬市原町区馬場及び大原において特定避難勧奨地点の設定を受けた10世帯52名及び指定を受けていない1世帯9名について,財物損害等に対する賠償を求めるべく,原子力損害賠償紛争解決センターに対して,集団で和解仲介を申し立てました。

 

1 申立人について

⑴ 対象

福島県南相馬市原町区馬場及び大原の特定避難勧奨地点の指定を受けた世帯の方,指定を受けていない世帯の方

⑵ 申立世帯数,人数

世帯数

人数

原町区馬場

9

44

特定避難勧奨地点指定あり

原町区馬場

1

9

特定避難勧奨地点指定なし

原町区大原

1

8

特定避難勧奨地点指定あり

合計

11

61

 

2 請求内容,規模

⑴ 宅地賠償

約4億円

⑵ 建物賠償

約4億5000万円

⑶ 家財賠償

約6000万円

⑷ 慰謝料

約4億7000万円

⑸ 合計 約13億8000万円規模の請求

 

3 今回の申立ての趣旨及びポイント

現在,特定避難勧奨地点の指定を受けた世帯の方々が所有している財物(宅地,建物,家財道具等)については,東京電力が実施する直接請求(本賠償手続)において,賠償の対象とされておりません。

そこで,主に,特定避難勧奨地点の指定を受けた世帯の方々及び特定避難勧奨地点群に居住する世帯の方々の不動産や家財道具等財物についての賠償の途を切り開くことを目的として申立て致しました。

具体的には,宅地賠償及び建物賠償については,価値が全面的に失われたとして全損を主張し,福島県内における移住を前提とした請求をしております。また,家財道具賠償については,居住制限区域及び避難指示解除準備区域と同様の賠償を求めております。

なお,本申立てにおいては,財物の他にも,避難中の精神的損害に関する増額分についても,同時に請求しております。

 

4 今回の申立てにおける主な主張

・特定避難勧奨地点の設定が避難指示と実質的に同視されるべきであること

・事実上の中間貯蔵施設となり得る仮置場が生活圏に建設されていること

・周囲に特定避難勧奨地点が無数に存在すること

・現在においても自宅及びその近傍において高い放射線量が計測されていること

・生活圏の一部である農地及び山林の除染が未了であること等