【報告】福島市大波地区、伊達市霊山町雪内・谷津地区住民への賠償説明会のご報告

【報告】福島市大波地区、伊達市霊山町雪内・谷津地区住民への賠償説明会のご報告

平成26年6月30

原発被災者弁護団

 

当弁護団は平成26年6月22日に福島市大波地区、伊達市霊山町雪内・谷津地区住民への賠償説明会を行いました。

大波地区住民説明会では約250人の住民が、雪内・谷津地区説明会では約100人の住民がそれぞれ各世帯を代表して参加しました。

 

福島市大波地区

 福島市大波地区は市長村の合併前は伊達市下小国、上小国地区とともに旧小国村の一部でした。同地区は福島市内の中でも事故直後から放射線量が高いとされ国がいち早く除染作業に着手した地域です。平成23年には政府が初の同年米出荷停止指示を出したことでも知られています。平成26年4月には地区内にある大波小学校の生徒はゼロ人となり現在は休校状態となっています(平成22年度は約40人の生徒がいました)。住民のための野球場2面とその他スポーツ施設があった大波農村広場は現在、除染により出た土壌等の広大な仮置場になっています。

 

伊達市霊山町雪内・谷津地区

 伊達市霊山町雪内・谷津地区は掛田内(下小国に隣接する地区)の高台にあり、団地・分譲住宅地を中心とした比較的若い世代の方が多く住む地域です。地区内には多くのホットスポットが除染業者や住民らの測定により確認されています。団地のすぐそばには子どもたちがよく遊んでいた児童公園がありますが、除染のために土を剥ぎ取り公園敷地内の地下に埋めたため現在は遊具も撤去され、以前の面影もない荒地になっています。元々自然環境に恵まれていた地域であったにも関わらず若いお母さん達は子どもを外に遊ばせることもできず、一方で諸事情により避難をすることもできずに辛い思いをしています。

 

これまでの東電による賠償

 両地区の住民は原子力損害賠償紛争審査会によりいわゆる自主的避難等対象区域と位置づけられています。東京電力からは18歳以下であった者及び妊婦については1人あたり40万円(一時的にでも避難した場合は60万円)に追加として8万円、それ以外の者については1人あたり8万円、さらに平成24年になってそれぞれ追加的賠償として4万円が賠償されているのみです。しかもこれらについて東京電力は避難費用・生活費増加分等を含めたものとしています。

 

弁護団の考え 

 上記の通りこれら地域の住民は高い放射線被ばくの不安を抱え、実際にも様々な日常生活上の制限や負担を強いられています。避難をした方もそうですが、避難をできなかった方、一時的には避難をしたものの戻ってきた方それぞれに辛い思いがありました。

東電によるこれまでの賠償では、当該区域住民の精神的苦痛はほとんど賠償されていないといっても過言ではありません。上記賠償金額は明らかに不十分であり不当です。

 我々弁護団は、これら地域の住民の悲痛な声に真摯に耳を傾け、彼らが十分な賠償を受けられるよう集団ADRの申立準備を進めていく所存です。

 申立人数、申立内容、申立時期は現時点で未定ですが随時ご報告させて頂きます。

 

以上