【報告】飯舘村蕨平集団申立てでの和解案拒否について全国の弁護団が抗議声明

【報告】飯舘村蕨平集団申立てでの和解案拒否について全国の弁護団が抗議声明

 

2014.6.13

 

 5月28日付けニュースでご報告した,飯舘村蕨平集団申立て(33世帯,111名)における原子力損害賠償紛争解決センターの和解案の重要部分を東京電力が一部拒否した問題について,全国の合計19の弁護団・原告団が抗議声明を出しました。

 東京電力に対し,今回の和解案拒否に対し強く抗議し,センターの和解案を尊重,遵守することを求めるとともに,政府に対し,東京電力に強くその旨を指導するよう求めるものです。

以下,引用します。

 

 2014年(平成26年)6月13日

原子力損害賠償紛争解決センターの提示した和解案を拒否した事についての抗議声明

東京電力株式会社

代表執行役社長 廣瀬直己 殿

経済産業大臣

茂木敏充 殿

福島原発被害救済新潟県弁護団

弁護団長 遠藤 達雄

ほか後記19団体

1 本年5月27日、原子力損害賠償紛争解決センターが「飯舘村蕨平集団申立て」の案件について3月20日以降提示していた2世帯の和解案のうち、東京電力は①居住制限区域である蕨平区域住民に、帰還困難区域と同様に、H28.4~H29.3の慰謝料(1人120万円)の一括払いを認めた点、②被ばく不安による慰謝料増額(妊婦・子どもは1人100万円、それ以外の者は1人50万円)、③遅延損害金の3点について受諾を拒否した。

2 東京電力は、これまでも、本年1月4日及び6日付け毎日新聞の報道によって、福島県の避難等指示区域内に生活の本拠を有していた東京電力社員、さらにはその家族からの損害賠償請求事案について、一方的に避難終了時期を決定し、中間指針が示す賠償額の支払さえも行っていない上、既に支払った賠償金の返還要求をしているという実態が判明していたところである。

3 本年1月15日、政府は、昨年12月27日付けで原子力損害賠償支援機構及び東京電力が申請していた新・総合特別事業計画を認定した。同事業計画において、東京電力は、これまでの総合特別事業計画において謳われていた「5つのお約束」をさらに一歩進めたものとして、損害賠償の迅速かつ適切な実施のための方策について「3つの誓い」と称し、「ⅰ)最後の一人まで賠償貫徹」、「ⅱ)迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」、「ⅲ)和解仲介案の尊重」の3点を掲げている。そして、「ⅲ)和解仲介案の尊重」については、「今般策定された紛争審査会の定める中間指針第四次追補においては、東電に対して、指針で賠償対象と明記されていない損害についても、指針の趣旨を踏まえ、合理的かつ柔軟な対応と被害者の方々の心情にも配慮した誠実な対応を求めている。東電としては、かかる指針の考え方を踏まえ、紛争審査会の下で和解仲介手続きを実施する機関である原子力損害賠償紛争解決センターから提示された和解仲介案を尊重するとともに、手続きの迅速化などに引き続き取り組む」としている。さらに、同事業計画では「東電と被害者の方々との間に認識の齟齬がある場合であっても解決に向けて真摯に対応するよう、ADRの和解案を尊重する」とも述べているところである。

4 しかしながら、今回の和解案拒否は、同事業計画で謳っている「3つの誓い」中の「和解仲介案の尊重」に真っ向から反するものであることが明白であって、賠償問題を「円滑・迅速・公正」に解決するために設置された原紛センターの理念を蔑ろにするものである。さらに、本件においては、原紛センターが設定した和解案の諾否の回答期限を3度にわたって徒過し、原紛センターから「審理を不当に遅延させる行為」と判断されて遅延損害金が付されているにもかかわらず、これをも拒否するものであるから、東京電力の対応は目に余るものがある。原紛センターの手続を通じて相応の賠償を求めようという被害者の心情をも踏みにじり、いたずらに被害者の救済を遅らせるものといわざるを得ず、到底、看過できない。

5 全国の被害者支援に関わる弁護団として、東京電力に対し強く抗議するとともに、このような対応を直ちに改善し、改めて原紛センターの和解案を尊重、遵守することを求めるとともに、政府に対しては、東京電力に対し、強くその旨を指導することを求める。

(賛同団体)

原子力損害賠償群馬弁護団 弁護団長 鈴木 克昌

福島原発事故損害賠償愛知弁護団 弁護団長 細井 土夫

福島原発被害首都圏弁護団 共同代表 中川 素充 共同代表 森川 清

筆甫地区損害賠償弁護団 弁護団長 尾谷 恒治

みやぎ原発損害賠償弁護団 弁護団長 鈴木 宏一

ふくしま原発損害賠償弁護団 共同代表 岩渕敬、齊藤 正俊

原発被害救済山形弁護団 弁護団長 安部 敏

東日本大震災による原発事故被災者支援弁護団 弁護団長 丸山 輝久

福島原発被害者支援かながわ弁護団 弁護団長 水地 啓子

原発被害救済千葉県弁護団 弁護団長 福武 公子

東電損害賠償福井弁護団 弁護団長 円居 愛一郎

原発損害賠償請求を支援する弁護士の会(広島) 弁護団長 小笠原 正景

岡山原発被災者支援弁護団 弁護団長 石田 正也

原発事故被災者支援北海道弁護団 弁護団長 岩本 勝彦

原発事故被災者支援兵庫弁護団 弁護団長 古殿 宣敬

「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団 原告団長 中島 孝

「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団 共同代表 安田 純治

共同代表 菊池 紘

東日本大震災における原発事故被災者支援関西弁護団 弁護団長 金子 武嗣

原発被害救済茨城県弁護団 弁護団長 渡邉 昭

(順不同)

【本抗議文に関する連絡先】

福島原発被害救済新潟県弁護団事務局(新潟合同法律事務所内)

〒950-0994

新潟市中央区上所1丁目1番24号Nビル2F

TEL:025-245-0123/FAX:025-245-0155

 

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